鬼とわたし ページ5
それ以降、よく鬼狩りの見学をした。
本来一般人を連れて任務にあたるのは危険行為。でも童磨が毎回私に鬼が近づく前に鬼を殺してしまうから鬼に襲われたりなんてことはない。
鬼は理性があまりないという。いつも飢えていて、お腹が空いているから人を殺してしまう。
だから、童磨はそんな鬼を憐れんでいる。でも情けはかけていない。
今日もそう。
叫ぶ鬼を抑えて、金の扇で鬼の身体を斬り付けて信者と接するように微笑み涙を流しながら鬼に話しかけている。私はそれを遠くから見ている。
「鳴呼、なんて可哀想に。きっと今辛いだろう。俺が救ってやらねば」
優しい手つきで鬼を撫でる。辺り一面の血がなければ、きっとどこかの天使のように見えただろうに。鬼が少しの希望に縋りつくように安心した表情を見せた。その瞬間に、童磨は鬼の首を斬る。
やっぱり慈悲なんてなかった。
童磨にとって人間も鬼もきっと大差ないのだろう。きっと皆頭が悪くて子供や動物と同じに思っている。驚くような二面性はないのに、この人の見えない冷気は少しだけ苦手だ。
「終わったよー!今日の任務はこれで終わりだね」
また変わらないような笑顔で私に話しかけてくる。
「お疲れ様です」と声をかけると「まぁね」と言う。
消えていく鬼の身体に同情する。最後に見た景色が童磨の顔とは中々に可哀想な気もする。
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nerine(プロフ) - すごく面白いです!少し詰まっているので、所々改行したらもっと読みやすいかなぁと思います。 (2020年1月18日 4時) (レス) id: b9ed9857b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぃしゅあ | 作成日時:2019年10月21日 22時