検索窓
今日:7 hit、昨日:11 hit、合計:7,509 hit

8話 ページ8

……どうしてこうなってしまったんだろう?


気づけば建物が茜色に染まる夕暮れ時、人目を避けるルートの道をAさんと二人きりで歩いていた。


確か日和くん、あの後急にこの後ジュンとの予定があったとかでいなくなっちゃったんだ…

「日和くんは、初めて話したけどなんだか面白い人だったね」

私が考え事をしていると、口を開いたのは彼女だった。

「……日和くんはお喋りが上手だから、……私は少し口下手だけど」

「そんな事ないよ?」

「凪砂くんが話さない時はいつも何か考え事をしているのかな?って思ったり」とAさん。
自分では意識していなかったけれど、普段からそうなのか、それとも彼女は今の私の現状に対して言ったのだろうか…なんにせよ、今、不意に図星をつかれてしまった事には間違いなく、少し私も驚いてしまった。


「……Aさんにはなんでもお見通しなのかな?」

「そ、そんなことないよ!ただそう思っただけでそれだけの事だよ!」

と、少し慌てた様子を見せるAさん。


そんな他愛のない会話をしている時、白い何かが目の前にチラチラとよぎる。


「……雪」

「お、初雪だね?」


「今朝すごく冷え込んでたからそろそろかなとは思ってたけど」とAさんの言う通り、ここ最近の気温はかなり冷え込んでいた。
昼と夜の温度差は別格で夕方になると一気に冷え込む傾向にあった。雪という視覚的情報も加わり、その寒さに少し私は身震いをした。


「凪砂くん、ずっとポニーテールで首元寒くないの?」

「……え?」


「そんな事はないよ」それを発する前に自身の首元が何かに包まれる。


「よかったら使って!アイドルが風邪でも引いたら大変だしね、首元もちゃんと暖かくしないと!」

気づけば先程彼女が巻いていたマフラーが自分の首に巻かれていた。


「……暖かい」

「ならよかった!」

彼女が身につけていたからだろうか、その残った温もりが私にも伝わってくる。
ただそれ以上に自分の心が満たされているようなそんな感覚に襲われた。けれどその頃の私はその正体がなんなのかわからなかった。

9話→←7話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
76人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 乱凪砂
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さくらだ | 作成日時:2021年11月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。