【文スト】ニートで自由奔放な実況者が探偵社入社したらしい。 (ページ25)

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23.平凡だったのに。ページ25

【燐side】

私はごく普通の家に生まれた、ごく普通の女の子だった。

何せ一人っ子だったもので、両親は私を大事に大事に育ててくれた。
沢山甘やかしてくれた。

お父さんもお母さんも皆仲良しで、幸せな日々が続いていた。

そんな日が何時迄も続くと、ありふれた事を思っていた。

ある日、家に黒服の怪しげな団体が来た。
多分、私が高校生位の頃だったと思う。

「おい、奴を出せ」

「お願いしますから、もう放っておいてくれませんか！！！」

「あの子は…あの子は、私達の大事なたった1人の娘なんです！！！」

「…何時迄もそうしているなら、分かっているだろうな？」

そう言って黒服の1人が銃口を両親に向ける。
私は『やめて！』と叫んで、両親を庇った。

会話の内容からして、私の事を言っていたのだろう。

何故かは判らないけれど…。

「…お前が鏈野燐…だな」

『そうですが…何か？』

私は睨みつけながら答えた。
すると私に銃口を向けた。

「やめてっ！！！」

「お前が俺達と来れば…お前の両親は殺さない。

だが、お前が来ないのならば…両親も、お前自身も殺す」

銃口が私の額に当てられる。
冷や汗が止まらない。

…この人達に付いて行っては駄目だと、私の直感が告げている。

如何すれば…

「…答えない積りか」

私は俯いた。
足元の影を見つめた。

如何、すれば…っ！！

「残念だ」

そう黒服が言い捨て、銃口が火を噴いた…

、

、

『…えっ』

閉じていた眼を開く。
そこには、黒服一同の死体がズラリと並んでいた。

『…如何言う、事…？』

振り返ると、両親が怯えた目で此方を見つめていた。

そして、次に両親が吐いた言葉は、

、

、

「…目覚めて、しまったのね」

…あの時は、何の事か判って無かったけれど。

後に、これが何の事か知ることになるなんて、思いもしなかった。