【文スト】ニートで自由奔放な実況者が探偵社入社したらしい。 (ページ12)

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10.女医と人虎とニート。ページ12

【燐side】

暗い、微かにしか見えない視界の中。
私の目の前に、彼奴が立っていた。

____て、こんな事に…

小さな頃の彼奴は今日も嘆いている。
けれど、

［…今は違う。もう、泣いたりなどしない］

___彼奴は、変わった。
私の中で、ひっそりと…

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…目覚めると、ぼやけた視界の中に照明の光が見えてくる。

『…此処、は…』

だんだんピントが合ってきて、自分が何処に寝かされているのかが見えてくる。

「手術室だよ」

『…あっ、貴方は…』

「与謝野だ。随分派手な怪我をしたねェ、アンタ」

『ははは…つ、つい体が動いてしまって…』

隣に居たのは探偵社員の1人…という事は、此処は探偵社の中、か…

そう思った瞬間、ホッとして力が抜けた。
そのままベッドに倒れ込む。

「おっと、大丈夫かい？」

『は、はい…』

(麻酔が未だ切れていなかったか…)
「…初めての任務だったし、疲れていたんだろう。ゆっくり休みな」

『有難う、御座います…』

与謝野さんの優しい笑顔に安堵する。
また眠りにつこうとした、その時だった。

「与謝野さん！！彼女は…目覚めましたか？」

扉が開いて、白シャツの少年が入って来た。
与謝野さんは「見ての通りだよ」と笑う。

「あ！お、起きてたんですね…」

『は、はい…』

「良かった…国木田さんが慌てて連れ帰って来たので、皆心配してたんですよ」

『そ、そうだったんですか…済みません、私がしくじった所為で…』

私の失敗(ミス)で、迷惑を掛けてしまった。
その上、意識を失ったあの後に彼奴が出て来たのかどうかも分からない。

国木田さんが気掛かりだけれど…
二人の様子からして、無事だったみたいだな。
良かった…

「いやいや、僕も最初は貴方みたいに沢山失敗して…与謝野さんに何度かお世話になりましたからね…」

「あぁ。けど今もそれは変わらないけどねェ、敦？」

「ゔ…き、気を付けます…」

「まぁ妾(アタシ)は何時でも歓迎だけどね。
アンタも怪我したら妾に言いな。直ぐに楽にしてやるよ」

「与謝野さんその言葉にその笑顔は怖いですよ！！」

…てか今、与謝野さん…「楽にしてやるよ」って言ったよね…？

…あ、これ絶対怪我しちゃいけないヤツだ。

私はもう二度とこんな大怪我をしないと心に誓ったのだった。