夜空を見上げる鮫と月 part８ (ページ10)

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食欲ページ10

スクアーロ side

　ス「・・・・・。」

俺達が日本での仕事を終え、無事にイタリアに
帰国してから数日が経った。

俺達は今、夕食を食べるために部屋に集まっている。

しかし・・・・。

　全「・・・。」

誰も一言も喋らない。

　ス「・・・。」

いつもの奴らならば、他人の食事の邪魔をして料理を
取り合い、うるさく騒ぎ立てているハズだが。

皆一様に、静かに食事を進めている。

　「・・・・。」

　ス「！」

そんな中で、Aが１人静かに席を立った。

見ればAの目の前の皿には、ほとんど手付かずの
状態で料理が残っている。

　ル「え・・・Aちゃん？もういいの・・・・？」

席を立ったAにルッスーリアが心配そうに
話しかけた。

俺達がイタリアに帰って来てから数日が経っている。

しかし、イタリアに帰って来ても尚、Aの
状態は変わる事は無かった。

あの日から、Aはほとんど食事を口にしていない。

そのせいでAはみるみる痩せていく。

ただでさえ細く小さな体が、さらに小さくなっていくのが
隊服の上からでも見て取れた。

　「・・・・。」

　ル「・・・・。」

　ス「・・・。」

Aはルッスーリアの言葉に返事を返す事は無かった。

そして、誰とも目を合わせる事無く部屋を出て
行ってしまう。

俺達はそんなAを引き留める事もできなかった。

　ス「・・・。」

Aは俺達の問いかけに対して、今までのように
目を合わせる事も、頷く事も、無くなってしまった。

Aの顔は相変わらずの無表情だが・・・

その顔は今までにないくらいに無表情だ。

どう言う事かと言うと、今までのAも
無表情だったのだが。

その時と今とを比べると、全く違う。

無表情とは、今のこの状態を本当の無表情と
言うのだと俺達は知ったのだ。

前のAは今のAと比べると表情が
あった方だった。

多分、Aの雰囲気がそう感じさせていたのだろう。