愛されない人間 ページ20
ス「A・・・お前は綺麗だぜ。」
「・・・。」
スクアーロのその言葉に私は自分を見下ろす。
見れば、私は浴衣を着ていた。
これはルッスーリアが私に着せてくれた浴衣だ。
スクアーロは私に近づくと、髪をすくい取り、
私を見つめている。
「・・・。」
私が綺麗？
そんなハズは無い。
ヴァリアーに来てから、私の周りにいる人達は
私の事を可愛いだとか、綺麗だとか言う事がある。
そんな事無い。
私は血に濡れた殺人鬼。
人を殺す事しか知らない醜い人間。
人の命を奪う事でしか居場所を得られない。
そんな女が美しいとか、綺麗だとか、
そんな事言われる訳が無い。
「・・・。」
いつかディーノは私は愛されていると
言った事があった。
意味が分からなかった。
愛されている？
いつ？
どこで？
誰に？
私は愛されない人間なのに、ディーノは
何を言っているのかとあの時は思っていた。
ス「・・・A・・・愛してる。」
「・・・・・・。」
そんな事を考えながらスクアーロを見つめていると、
突然、スクアーロはあの言葉を私に告げる。
愛している？
スクアーロが？
私を？
そんな訳ない。
そんな事ない。
そう。
これは夢。
夢なのだ。
「・・・・・っ・・・。」
そう言い聞かせようとした所で思い出す。
記憶が鮮明に色づき出す。
・・・あぁ。
そうだ・・・。
これは夢では無い。
私は確かにあの時、スクアーロに同じ事を
言われたのだ。
部屋で１人、外を眺めていた私の所に
スクアーロが来て・・・
浴衣姿の私を綺麗だと言った。
そして・・・
「愛してる」と言ったのだ。
あれは・・・現実。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
