濡れて ページ6
ス「・・・っ！？A！！？」
視線を向けた先、雨が降り注ぐ濡れたバルコニー
にはなんと、Aが傘も差さずに座っていた。
俺はそんな状況に驚きながらも、バルコニーに近づく。
ス「う゛ぉぉぉぉおおい！A！！こんな所で何やってやがる！！」
「・・・。」
俺は窓を勢いよく開け放ち、座り込むAに
話しかける。
窓を開けた事で雨の匂いが香る。
「・・・・。」
ス「・・・・A・・・？」
しかし・・・・
Aからは返事が無かった。
俺はAに近づき、肩に手を置く。
だが、やはり反応は無い。
ス「う゛ぉぉおい！何してんだ！」
「・・・・・。」
俺はAの肩を引き寄せる。
すると、Aの体は俺の方を向いた。
けれど、Aは俯いていて顔を確認する事ができない。
俺は訳が分からず、ザンザスの方に視線を戻した。
ザ「・・・昨晩からその調子だ。全く反応がねぇ。」
ス「・・・。」
俺がザンザスへと視線を向けるとザンザスは１人、
酒を煽りながらそう言った。
・・・昨晩から・・・だと？
じゃあ、Aはずっとこの状態で雨に
打たれていたのか？
ス「・・・・。」
俺は再びAに視線を戻した。
Aは雨に濡れ、白いネグリジェが体に張り付いて
しまっている。
ス「・・・A・・・聞こえるか・・・？」
「・・・。」
俺はAの隣にしゃがみ込み、Aに
そっと話しかける。
すると、Aはとてもゆっくりとした動作で
俺の方を向いた。
ス「・・・・。」
「・・・・。」
Aは俺を見たが・・・
見ていなかった。
Aが俺に向けるその目には光が無く、まるで生気を
抜かれてしまったかのような目をしていた。
そして、その顔は相変わらず無表情だったが・・・
微かにあったはずの表情の変化も見られない。
雨に打たれ体が冷えているのだろう、顔は血の気を失い
白くなってしまっている。
そんなAはまるで・・・・
凍ってしまったかのようだった。
ス「・・・ここに居ると体調を崩す。風呂入って体を温めろ。」
「・・・。」
俺はそんなAを見て、Aの肩に手を
かけると話しかける。
雨に打たれていたAの体は、やはり冷たく、
冷え切っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
