雲が聴くのは月の歌 (ページ36)

今日:31 hit、昨日:15 hit、合計:183,910 hit

雨ページ36

獄寺 side

今日の天気は雨だ。

灰色の雲が空を覆い、雨粒を落としている。

こんな天気の日は気分が下がる。
きっと今日は良い事なんて１つも無い。

　獄「・・・・げっ・・・。」

俺は傘を差しながらいつものように
十代目の家へ向かう。

しかし、途中で水溜まりを踏んでしまい、靴が
濡れてしまった。

靴の中に雨水が入り込んで気持ちが悪い・・・。

良い事なんて無い。思った通りだ・・・。

　獄「・・・！A！」

　「・・・。」

そんな事を思いながら歩いていると、俺の前方に
見覚えのある姿が見えた。

俺はAの姿を見つけると雨など気にせず
走ってAに近寄った。

　獄「よぉ。A。」

　「・・・・。」

Aとちゃんと会うのは久しぶりだ。

Aはなんとか学校には来ているが、
いつもいろんな場所を転々としており、
なかなか遭遇できないのだ。

俺が声をかけるとAは俺の方を向き、
少し微笑む。

しかし、Aの微笑むその表情は少し悲しい
雰囲気だった。

　獄「・・・学校は・・・どうだ・・・？」

　「・・・。」

俺がそう聞くとAはゆっくり頷く。

しかし、その頷きからはAの本心を
理解する事は出来ない。

Aが学校に転校してきてから十数日が経った。

未だにAは授業に出ず、１人で授業を
サボっている。

あの日から変わらず１人で過ごすAの
そんな様子から十代目や山本だけで無く、
笹川や黒川までもが心配してくれていた。

Aは皆から心配されているのだ。