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走り出したワインレッドの車。
いつの間にか外車を購入してたらしい。助手席が右だった。
流れる景色をぼんやりと見ていれば、流れる景色に『こんなところもあったな』と呟いた。
久しぶりに帰ってくれば、街並みは変わっているから、迷子になった。
暫くは、誰かに同伴してもらわなきゃな。
中也「眠いなら寝てていいぞ。着いたら起こす」
A「…いや、中也が運転してるんだもん。起きてるよ」
特に眠い訳では無いが、中也の優しさが身に染みる。
数十分後、『着いたぞ』と声をかけられた為、ドアの取っ手に手をかけると、
中也が焦ったように制止してくる。
中也「動くな。俺が開けるから待ってろ」
A「え、いいよ。気にしないで」
優しすぎやしないか、うちの弟は。
幹部なのに、いいのか。そんな優しくて。
そんな言葉たちを飲み込んで、
ドアを開けてくれた中也に『ありがとう』と伝えた。
景色を見て、不思議と思って中也の顔を何度も見てしまう。
そんなのはお構いなしで、自身が羽織っていた上着を私に掛けてきた。
A「ちょっと…!折角、中也だって着飾ったのに。それに、何で水族館_______」
中也「いいンだよ、姉さん。着てて大丈夫だし、行きたかっただろ?水族館」
少し困っていると、『俺は姉さんと行ければ何処でもいい』と云われる始末。…アンタ、いつの間に男前になったのよ。
中也にエスコートされ、水族館の入場口に入れば、いつの間にか電子でチケットを取っていたのかすんなりと入れた。
パンフレットを貰い、開いてみると、以前来た時と比べて配置が違っていたりしたけど、
自分の記憶は忘れてはいなかった。
昔のことを思い出して、視界が少し歪む。
…ダメだ、しっかりしないと。また、中也に要らぬ心配をかけてしまう。
案の定、近くにいた中也が心配して『大丈夫か?具合悪いんじゃ』と心配し始めた。
A「大丈夫だよ。ほーら、中也も行こ」
中也の手を引っ張って、水族館の中を散策し始める。動物と触れ合える場所へと行ったりして、
そんな中也を自分の持っていた携帯で写真に収めた。
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作者名:松城美樹 | 作成日時:2022年5月29日 22時