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中也が先へと歩く中、お土産屋を横切る。
ふと目に入ったペンギンのぬいぐるみ。近づいて触ってみると、
ふわふわしていて、もちもちしていて、肌触りが良かった。
んんー、可愛い………
中也「買うか?」
先に行ってたはずの中也が戻ってきて声を掛けてきた。少し悩んで、私は首を横に振った。
A「いや、邪魔になっちゃうからいい」
そう伝えると中也は少し困った顔をして『そうか』と呟いた。
A「…ッもう、なんでそんな暗い顔するかなぁ〜」
頭を撫で回し、精一杯の笑顔で『大丈夫』と言葉にした。
A「中也が可愛いから大丈夫大丈夫」
中也「それは、なんの大丈夫なんだ…!?ったく、結構見て回ったけど、他見るところあるか?」
A「とりあえず、全部回ったから満足だなぁ」
中也「んじゃあ、そろそろ出るか。姉さん、お手洗いは」
A「さっき、サッと行ってきたから大丈夫だよ。あ、中也行く?」
中也「ちょっと行ってくるから、探すのも面倒だしゲート口付近にいてくれ」
A「りょーかい」
言われた通りにゲート付近に向かえば、すれ違う人はちらほらいた。ぼーっと待っていると、負傷している右腕がやけに脈を打っている感じがした。
………まずかったかな。
自分自身で額に手の平で触っても、それが熱いのかさえ判別ができない。…だからといって、中也にお願いをすれば、やけに勘づいて、心配された挙句に森
考えれば考えるほど、沼のようで。
残党たちの悲惨な姿が脳裏で想像できてしまって申し訳なく感じた。………そもそも論で、襲ってきたのが悪いんだけど。うちの弟を甘く見るなよ???
「_____ねぇ、お姉さん」
現実に引き戻された思考。中也ではない誰か。男二人。身長は私と同じくらいか、それより上。ヒール履いてるから微妙なところだな、うん。
″何の用なのか″
次の言葉を待っていると、滑稽な言葉を男は吐いた。
「綺麗だね、美人だ。一緒にお茶とかどうかな…?」
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作者名:松城美樹 | 作成日時:2022年5月29日 22時