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__________…ッ、
セミダブルのベッドから起きては、
ズキズキと痛む右腕に左手で触れる。
消毒したのにも関わらず、熱を帯びていた。
左手と比べれば、右手に力は入りにくいのは確かだった。
治っているのか…?
まぁ、放っておけば、勝手に治るか。
巻いてある包帯越しだが、少し撫でては、
一息つくと、『姉さん』と声を掛けて入ってきたのは、
私の弟だった。どうやら、先に起きていたらしい。
やけに心配そうな声色で、ベッドに腰をかけている私の前に膝をついて、
右手を握っては、『怪我、具合悪いか?』と顔を覗かせた。
A「んーん、大丈夫だよ。中也に怪我があったら、
そっちの方が気が狂いそう」
中也「元は、俺を庇った怪我だ。
真逆、襲撃されるとは思わなくって…」
中也も中也で、負い目を感じているらしい。
怪我の負った腕を中也の手が触れれば、痛みが全身へと駆け巡った。
思わず、身構えたからか、中也が余計落ち込むものだから、
こっちもこっちで気が気でない。
昨日のあの後、そこそこ良いレストランに行って、
ご飯を食べていたら、敵襲に遭遇した。
他にもお客さんが居たのと、急な出来事で、
中也に向いた矛先を庇い、怪我を負ったのだ。
襲った理由を揺すり、聞けば、
『たまたまポートマフィア幹部が来店して、
皆で襲いかかれば、多少の犠牲あれども、殺れる』と思ったらしい。
私の弟を舐めすぎでは???
纏めて潰したものの、店側の被害もあって、
その処理を拠点内では追われてるのと同時に、
遊撃隊が残党と拠点を探しているらしい。八つ裂き確定だろうけど。
A「こんなの、大丈夫だって。
それより、ご飯作ってくれてるんでしょ?」
中也「そうだけど…」
A「怪我は大丈夫だって。
″腹が減っては戦ができぬ″って言うし、
今日は、何も考えずにさ。ゆっくり休もう…?中也」
頭を撫でると、ポツポツと中也は口にした。
『………ご飯、できてる』と云った中也は、素早く立っては、
そそくさと居間へと消えて行った。
A「ったく、素直じゃないんだから」
他人のこと、言えないけどさ…
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作者名:松城美樹 | 作成日時:2022年5月29日 22時