いちごオレにビターをかけて…【松野おそ松】

いちごオレ16 ページ17

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「わぁ…」


家に帰って、制服のまま自室のソファに腰をかけた。

私は、鞄の中から大事にしまっていた台本を取り出す。

ガラス細工を触るかのように、そっと手にとって

じっくりと表紙を眺める。


台本かぁ…


じわじわとわいてくる優越感を堪能しながら

ソファの上で、足を三角にさせて至近距離で

台本を一枚ずつ丁寧に捲る。


もちろん、一般庶民の私は台本なんて手に取った事もないから

結構緊張している。


登場シーン、気持ち、表情、台詞、重要な所が記載してあって


小説とは違う感じで、ストーリーが入ってくる。

意外にこっちの方が読みやすいのかも知れない。簡潔で。

小説が嫌いな人にはお薦め。


だんだんと読み進めていくと、

最後の方に、恋愛ゲームで言うところのイベントのような、

この話の一番の山場。


太い字で書かれているので、大事なところだと分かる。


「間接…キス…か。」


原作を買っているので、話は知っているのだが

確か、主人公の男の子がヒロインの子からいちごオレを渡すっていうシーンだ。

結局断れきれず飲んで、主人公の男の子が沸騰してしまうという内容なんだけど


おそ松くんはこれを演じる…。


おそ松くんの顔が真っ赤になるなんて、想像も出来ないけど

役作りで…関節キスをやるって事だよね。


ここにきて、事の重大さに私は始めて分かった。



「えっ…ちょっと、待って…。



私、おそ松くんと…」


考えるだけで、頬がだんだんと赤に染まっていった。


おそ松くんと関節キスだなんて、

余裕でできるほど、私、恋愛経験少ないし。


というか、全く恋愛経験ないし。


おそ松君となんて…


「むっ無理に…決まってる…」


次に会うのは、今週の土曜日。

第一話放送は、再来週の月曜日。


早すぎる。…


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