【おそ松さん】 カラ松さんとカラ松ガール 【カラ松】

４３ガール ページ43

前言撤回。
もしかしたら彼は自分の欲望の通りにしていたのかもしれない。


「………」

ただいま私はカラ松さんと映画を見ている。
内容は私がずっと前から見たかった切ない恋愛物。

ほんといい話で私は涙目なんだけど。





「……っ、うぅ……っ」




カラ松さん、号泣中。

運命がどーたらとかいう内容だからカラ松さんに合っていたのかもしれない。
ずっと鼻をすすりながら、嗚咽を漏らしながら腕でごしごし涙を拭いている彼。

嫌とかそんなんじゃない、むしろ可愛らしいと思う。
だからこそ、前からずっと気になっていた映画に集中できないのだった。




……この人、ほんとに成人男性なんだろうか。
よくわからなくなってくる。


かっこいいけど可愛くて、優しくて、でもちゃんと人間らしくて。
私はカラ松さんという人を掴めずにいた。








ばちり。



カラ松さんと目が合う。

当たり前か。私がこれだけ見つめていればカラ松さんも気づくだろう。
私は目が合ってしまうと自分から逸らせない性分で、視線はカラ松さんと絡み合ったまま。


暗い映画館。スクリーンの中では一組の男女が唇を合わせようとしている。







思考が止まる。


ぐいっと引き寄せられた身体。近づく彼の顔。

唇が重なるか重ならないかの距離でそれは止まって







「……この映画、とても素晴らしいな」





彼はにこりと笑って私を離してみせる。









そして私の再び止まる。



「……えぇぇ…？」





もう、映画になんて集中できない。

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