「ずーっと、」 ページ2
年に1度の体育祭。みんなが盛り上がっている中、私は1人絶望、そして諦めを感じていた。
私の通っている苺谷学園の体育祭は少し特殊。
借人競走、という競技があるのだが、そこで高校三年生の選ばれしモテ男たちが告白をするのだ。
で、今その競技が始まるとこ。
スタートラインには、イケメンたちがずらっと並んでいるが、一際輝いて見える人がいた。
「3レーン!B組、桃原さとみさん!!」
実況者の放送委員がそう叫ぶと、学校全体が歓喜の悲鳴で溢れた。
きゃー!きゃー!と甘い声をだす女子たちが周りにいる中1人すごい勢いで落ち込む私。
なぜって…私が、さとみくんのこと好きだから。
初対面は、入学式。
もちろん素晴らしいビジュアルも好きだけど、捨てられている猫を撫でて心配そうにしているところを偶然見た私は、俗に言う一目惚れをした。
そんな、ずっと片想いしていた相手がこれから誰かに告白するのだ。
私に来る可能性は、大目に見ても0。
だって、。さとみくんの横にはいつだって可愛い幼なじみがいたから。
「さとみ!!頑張れー!!」
鈴を転がすような可愛い声でさとみくんに声援を送る、柏木瀬奈さん。
本人も公認している事実上カップルみたいなもので。
さとみくん、絶対瀬奈に告るじゃん!という問いかけにえー、わかんないよー、と絶対確信している声で答えていた。
はぁ……
素直に楽しめたら良かったのに。
片想い出来ただけ幸せって思えたら良かったのに。
好きと言える勇気があれば良かったのに。
あーあ。
カラッと晴れた体育祭日和なのに、私の周りの空気だけどんよりとおもく湿っているようだった。
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作者名:凛月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年7月5日 21時