ロンドンのお土産話5 ページ13
話しきったのか満足した蘭ちゃんは眠そうだ。
「寝付くまで傍に居てあげよっか？」
「いや……それは……」
という蘭ちゃんに布団に入るようすすめる。
「いいのいいの、蘭ちゃんは偉いし強い。新一君のこと信じて待ち続けているところ、本当に尊敬だよ」
「追いかけてるわけじゃないのに？」
「うん。待つのは大変。私はすぐに待つの諦めて次に行っちゃうから」
「え……？」
余計な言葉に驚いたのだろう。蘭ちゃんは眠そうにしていた目が開く。
しぃと、自分の唇の前に人差し指を立てて笑ってみせた。
「一途な女の子に憧れちゃう。明日もまた遊ぼうねー。ゆっくり眠って？」
蘭ちゃんの寝息が整ったのを確認して、電気を消して部屋を出る。
すぐ目の前にコナン君が立っているのでうっかり声をあげてせっかく寝付いたばかりの蘭ちゃんを起こしてしまうところだった。
「あら、まだ起きていたの？ 蘭ちゃんは眠っちゃったわよ」
「お姉さんは？」
コナン君はにこりと邪気のない笑顔を見せる。
「今から休むつもりだったけど、どうぞ。君と話をした方が良さそうね」
コナン君を部屋に招く。
「明日平次にーちゃんが遊びに来るって」
「そう。賑やかに過ごせそうで楽しみだわ」
「あのさ……」と切り出した瞬間、突然、コナン君の声のトーンと顔つきが変わった。
なるほど、こっちが新一君モードということか。
「おねーさんって、赤井さんが誰に殺されたのか知っている？」
「コナン君は知っているの？」
私はただの一般人だけど、さすがに、公安警察(多分)とFBI(偽装死中)との付き合いも長くなってきた。
FBIから受け取った情報を子供の前で簡単に口にできるほど、素人ではない。
コナン君は目を彷徨わせていたが、ふうとため息をついた。
「あのさ、ここには盗聴器はない。
ボクは赤井さんが誰に消されたか知っている。
それでね、どうしても、先にすすめたいから危険を承知で聞くんだけど、お姉さん、誰かから黒づくめの組織の話を聞いたことない？」
「ううん、――ちょっとわかんない。
正直言うと赤井さんが【昔裏切った組織に消された】とは聞いていた。黒づくめっていうのは愛称か何か？」
まあ、コナン君は多分【沖矢昴は赤井秀一であることを私に話している】と推理しているだろうし、そんな私が彼らの秘密を何でも知っていると考えるのもおかしくはない。
正解。でも、ここで本当のことなんて言えるわけもない。
ロンドンのお土産話6→←ロンドンのお土産話4―コナンSide―
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年11月8日 10時
