test of courage2 ページ47
「こんなに静かなの、珍しいと思ったらシュウ寝てるんだ?」
囁くようなJの声がして本から目を上げたら8時近くだった。
集中しすぎていたみたい。
私は秀一さんを起こしたくなくて、こくりと頷く。
「お疲れ様。コーヒー淹れようか?」
その問いにもう一度頷くと、Jは足音も立てずコーヒーメーカーの元へと歩く。FBIに入るためには足音を立てずに歩く試験でもあるんだろうか。
とはいえ、さすがにコーヒーメーカーを黙らせることはできないし、室内に芳醇なコーヒーの香りが立ち込めるのを止めることもできない。
私はようやく、お腹が空いていることを思い出した。
とはいえ、秀一さんの頭の上で熱いコーヒーを飲むなんて無理だよね。
さて、どうしようかと思いながらも本の続きを読んでいると、不意に腿の上が軽くなった。
私は慌てて彼にぶつからないよう、慌てて本を避けた。
「A、ありがとう」
秀一さんは身体を起こすと、私の存在を確かめるようにキスをして頭を撫でてくれた。
「ううん。起こしてごめんね」
「夜に寝ない俺が悪い。君が気にすることじゃない」
秀一さんは足がしびれたに違いないと決めつけ(確かに痺れているけれども)、ひょいと私を抱き上げてダイニングチェアまで運ぶと、朝食の準備をしてくれた。
Jはそれに対して反応するわけでもなく、「Lady、熱いうちにどうぞ」とコーヒーをマグカップに淹れて持ってきてくれたので、ブラックのまま口にする。
私のマグカップがどれかきちんと把握しているあたり、やっぱり観察力が並外れているよなとも思う。
「美味しい。ありがとう」Jの青い瞳を見つめてお礼を言えば、どういたしましてと微笑を返してくれた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時