test of courage1 ページ46
test of courage:勇気があるかどうか試す、肝試し
昨夜は、秀一さんが次々出してくれるカクテルが美味しくて、楽しくて。
ついハイペースで飲みすぎてしまったようだ。
目が覚めたとき、微妙に頭が痛かった。くらっとした頭を抑えながら起き上がる。
ベッドの上には私一人だった。
やたらとベッドが広いことに驚く。
真ん中に寝ているところを見ると、昨夜はきっと一晩中私一人で眠っていたに違いなかった。
Jが来ているから昨夜も寝ていないのかもしれない。時計を見たら、6時を過ぎたところだった。
夏場はあまり遅い時間にスタートすると日差しが暑い。だからできるだけ5時台に出発したくて早起きしているのだけれど今日は寝坊したため、少し迷ったが、一応ランニング用の服に着替えた。
習慣で食堂を覗けば、ソファで秀一さんが服のまま眠っていたのでびっくりした。
いくら広いソファでも、身長の高い秀一さんが寝るには狭い。
折角眠っているんだから起こさない方がいいよね、と、静かに出発しようとしたら不意に彼が目を開けた。
「――おはよう、A」
手を伸ばしてくるので、私はそれを掴むほかない。
「秀一さん、眠った方がいいよ?
私なら一人で走ってくるから平気――」
彼はひょいと身体を起こすとソファに座っている自分の方に私を引き寄せる。
「だめ。今日は傍に居て。君がいないと心配で眠れない」
低く魅惑的な声がことさら甘く耳に響く。
「だったら、私の部屋で寝る?」
「無理。階段を移動する気力もない。ここで寝るから傍に居て。後1時間でいいから」
眠いからという理由で彼がそんなことを言いだすなんて珍しい。
眠っている間、私が傍に居ようと居まいと、そんなに影響なんてないと思うんだけど……。どうしたのかしら。
「――わかった。じゃあ私、本を持ってきてもいい?すぐ戻ってくるから、秀一さんは寝ていて?」
いいよと言ってくれたので、資料として読むために取り寄せておいた本を数冊持ってきてソファ脇に置き、秀一さんの頭を膝にのせて頭を撫でる。
すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。
寝不足のはずの彼から煙草の匂いもお酒の匂いもしないことが、不思議だった。
一晩中、どこで何をしていたのだろう――。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時