Columbine. (ページ22)

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「景瑚くん、ごめんなさい。」

翔也からの電話で、待ち合わせ場所へと出向いた。そこに居たのは翔也ではなく、久しぶりに会う碧海。

彼は俺を見つけるなり、周りを気にせずに頭を下げた。

「何に謝ってる？」
「それは、…今から、説明したいんですけど。」
「分かった。じゃあ俺んちで良い？」

碧海の謝罪の理由が、Aのことだと分かっている。
だけど俺たちが別れたのは碧海のせいじゃない。彼が居ても居なくても、親父は俺と彼女を離しただろう。無論、俺だって彼女の本心を知れば、別れていた。

…いや、多分違う。
彼女の本心を知っても、別れなかったかもしれない。

失って気づくとはよく言うけど、俺の気持ちはまさにそれで。彼女の本心を知って、裏切られた気になって、憎らしくて、勢いに任せて別れてしまった。だけど冷静になって数日、それでも彼女と居たかったと思ってしまう自分は、自分が思うよりずっと彼女が好きだったのだと思う。

捨てるべきものを、見誤った。
だから結果的に、全部捨ててしまったのだけど。

「景瑚くん、河野純喜って人、知ってますか。」
「河野？…あぁ、親父の秘書だよね。知ってるけど、何？」
「その人と話したことありませんか。」
「話したことはないけど…なんで秘書の話？」

俺の家に入ってすぐ、待ちきれなかったのか碧海はすぐに俺へ問いかけた。質問の意図が分からず廊下から彼を振り返ると、両手を握りしめた彼は意を決したように俺を見る。

「その人、コンビニでバイトしてて。」
「は…？え、コンビニ？」
「Aちゃんと一緒に、働いてました。」

碧海は、間違いないと言った。何度もコンビニで顔を合わせたその人と、ホームページに載っている顔、名前、全て同じだったと。

「…だとして、なんか関係ある？」
「翔也の、聞きました、ボイスレコーダー。」

俺は仕事を辞める時、翔也にだけボイスレコーダーを聞かせた。そして彼が、確かめたいことがあるとそれを持って行った。そんなことは忘れていたけど、碧海の手の中にあるのは、紛れもなくあのボイスレコーダーだった。

「…この声、河野純喜です。」
「Aと話してる相手？」
「はい。それから、この音声、解析したんです。」

どんな経路で、どう解析したかは分からない。けど、続く言葉を予想した俺の胸は、なぜかドクンと何度も跳ね上がる。

「これ、捏造されてます。」

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