0019 keigo ページ19
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"話したいことがある。"
そんなLINEを見て、俺ははるかに言われた通りの時間に公園へ向かった。先に着いていたはるかが俺の姿を見つけると、座っていたブランコから立ち上がって手を振る。
「なんか2人で会うの久しぶりすぎて新鮮。」
「ちょっと前は当たり前だったのにね。」
そんな言葉を交わしたものの、拭えない気まずさに目を逸らした俺は隣のブランコに座る。はるかも再び腰を下ろして、しばらくの沈黙の後に口を開いた。
「景瑚には、感謝してる。」
"感謝"なんて。はるかから俺に対して生まれるはずない感情だって思っていた。だって俺はあの時、はるかをフって、純喜くんと付き合えなんて勝手なことを言ったのだから。
「景瑚の言う通り、あの時は景瑚が嘘でも私を選べば満足するつもりだったの。」
"俺がAを好きなまま、はるかと付き合ったらそれで満足するの？"
自分の言葉を思い出すと、我ながらかなり最低だと思う。自分に好意を寄せてくれるはるかに対して掛ける言葉ではない。
「でも、純喜と付き合ったのは、自分の意思。」
「純喜には申し訳ないと思ってる。都合よく、利用してるのと同じだから。」
「だから、今からちゃんと向き合うつもり。」
彼女は俺を見て、懐かしい笑顔を浮かべる。
「大事にしたいの、純喜のこと。」
「…じゃあ、」
「うん。少しずつ、純喜のこと好きになってるんだと思う。」
ホッとした、というのが正解だろうか。
俺の言葉は関係ないと言うはるかの言葉が本当なのかどうか分からないし、その罪悪感は消えていない。だけど、大切な幼馴染みであるふたりが、本当に幸せになってくれるなら俺は嬉しい。
「Aとも…ちゃんと話したい。」
はるかが自分の気持ちを知っていること、恐らくAはまだ知らない。純喜とはるかが付き合った本当の理由も、俺がAに向けていた好意も…何も知らないAが全てを知ったら、俺たちのことをどう思うだろうか。
優しいAは、許してくれるのだろうか。
「こんな夜に呼び出してごめんね。」
「ん、こちらこそ。ありがとな、話してくれて。」
立ち上がったはるかに合わせて俺も立ち上がると、はるかは首を横に振ってから俺の顔を見上げる。
「あんたもいい加減、腹括んなよ？」
「…俺はいーの。今が1番、幸せなんだよ。」
「嘘ばっか。」
ぺちん、と俺の頭を叩いたはるか。笑いながら手を振って去る姿に、俺も小さく笑って見せた。
to be continued...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
