0018 junki ページ18
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はるかと付き合い始めて、２ヶ月。景瑚やAとはほとんど会わないけど、それでも関係は完全に修復されている。…と、思う。
Aの気持ちは分からない。だけどすれ違い様に向けられる視線に特別なものは感じないし、俺とはるかが付き合い始めた当初よりも"普通の幼馴染み"に戻っているような気がする。
もしそうなら、多少の罪悪感は残っていても、安堵の気持ちが大きいんやけど。
「明日の試合頑張ってねー、応援行くから！」
「え、来てくれるん？」
「うん、そのつもりだけど…だめ？」
「いや嬉しい、はるか来たらめっちゃ張り切る！」
帰り道、いつものようにはるかに手を振って別れようとすると、はるかは少しだけ考えたように上げた手を止めた。
「どうした？」
「いや…ううん、大丈夫！」
「嘘やろ。なんかあるなら言ってや。」
んー、と眉を下げたはるか。観念したのか、上げていた手を下ろしてゆっくり俺に近付いた彼女は、そのまま俺の胸元へと顔を埋めた。
はるかの気持ちがまだ景瑚に向いているのか、それとも自分に向いているのか、確かめたことはない。恋人になったのも俺のわがままである以上、未だに俺は手を繋ぐことすら躊躇っていた。
それなのに今、はるかから縮められた距離が、ほぼゼロになった。
「はるか？」
抱きしめてもいいものか、それとも、このまま話を聞くべきか。
このままでは自分の胸の高鳴りが彼女に聞こえてしまいそうだ。
「純喜、ごめんね。」
「…ん？」
「今まで、ごめんなさい。」
はるかの言う"今まで"がどの期間を指すのか分からない俺は、言葉を返せないまま立ち尽くす。
フラれるのか。そう一瞬で考えて、背中に回しかけた腕が行き場をなくしてしまう。
「自分の中で、色々考えることあってね。」
「ケジメをつけてから、ちゃんと純喜にも話したい。」
そのケジメがなんなのか。俺にとってプラスなものなのか、それともマイナスなものなのか。分からないけど、はるかにとってはすごく大切なことなんだと思う。
意を決して、止まった腕をゆっくりとはるかの背中に回す。応えるように俺の背中に触れた彼女の手が、ぎゅっと服を握った。
「待ってるわ。」
絞り出す言葉はこれしかなくて、待ってるなんて自分の都合でしかない。はるかのケジメが分からないうちからこんな言葉をかけるなんてずるいかもしれないけど、今の俺には精一杯の言葉だった。
「ほな、また明日。」
to be continued ...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
