498 ページ24
「まあ、そんなこと話してる余裕はないだろうからここで終わりにしよう。
しかし煙たいな、目くらましで上手いこと使おうと思ったがいくら窓が割れているとはいえ室内だからここまで酷いとは」
柱に括り付けられていた人質二人は上手いこと脱出していたが、彼らはまだこの室内にいる様だ、気配が三人分。
獣臭いのが一匹。
それを言うと彼女はホッと息を吐いた、頭から流れる生ぬるいそれが何とも痛々しい、僕は彼女の額を拭うと、花が咲いたようにお礼を言う。
ああ、こんな子めったにいないのに、彼奴には勿体無い。
「どうしたと……?」
「ううん、大丈夫。
さて、亡霊たちは何処か……」
そう言い切る前に塔が激しく揺れる、真逆僕、自分でここに来ておいて捕まったんじゃあないだろうな。
「……たっくん?」
「居た、亡霊め、直下で小規模とはいえ地雷を踏んだんだ、無傷ではないだろうが」
余裕そうに立っている彼に疑念を寄せる、何故だ?
何故立っていられる。
と、煙の中からひょいっと何かが飛び出した……。
見覚えのある白だった、地面にバウンドするその痛々しい体。
「……記憶を抜き取られたか」
「あ、ああ、たっくん、ねえたっくん、」
辛うじて息はあった、握りつぶされたのだろう、白い毛皮の上から内臓がつぶされていて明らかに死にかけだ。
隣の彼女は涙をボロボロ流して彼の頭を撫でる、投げ捨てられた彼に最早延命の余地もないだろう、あるとすれば彼の魂を精々こちらに戻してやれるくらいだ。
そうなれば僕の意識もなくなるだろう、元の石川タクに戻るのだ、真逆こちらまで二重人格だなんて実際シャレにならない。
120人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時