React of the Queen. IV【あんスタ】

24 - 1 また ページ37

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『〜♪』





私達が歌い始めると同時に、audienceは青に染まる。


美しく、星空を映し出す。





「何処に行くの、Aちゃん♪」



「…、薫くん」





ステージ裏で、タオルを首に巻いた薫の笑顔にAはいつも通りの表情で首を振る。





「何処にも行かないよ

仕事とかで忙しいんだ」





Knightsの高校最後の舞台を、舞台袖で眺めて、Aはそう言う。


予期せぬ”高校最後”に、小さな笑みをこぼして。




「へえ


…Aちゃんって、卒業したらどうするの？」




「私？

…突然だね」





少し考える仕種を見せてから、Aは小さく笑った。

ほんの陰りを見せた、小さな笑顔で。





「…レオと、泉と、

……世界に行きたい、かな」





その声を打ち消すように、audienceが湧く。


歓声に目を細め、耳に軽く蓋をしたAに、薫は優しく笑う。





「ふぅん、いいね

Aちゃんらしいや」





笑った薫の背後には、零がいた。


ステージ衣装のまま、壁に寄りかかってライブを、Aを、遠巻きに眺めている。





「…、零くん、放っといていいの？」



「ああ、朔間さ……じゃなくて、零くんは休憩中

ついでに可愛い女の子が無茶しないように監視中？」





冗談めかして笑った薫は、Aが不機嫌そうな顔をするのを慌てて宥める。

鳴り止まない歓声を前に、楽しそうに、相変わらず笑って。





「あはは、ごめんごめん


感傷に浸ってるんだよ、おじいちゃんだから
勿論、俺も

卒業したら今よりAちゃんと会えなくなっちゃうでしょ？」



「…、3年なんだから、そうでしょ」




「ドライだなぁもう

そういうとこも好きなんだけど
ホントに、マジで寂しいんだよ？


だから、海外行っても会いに来てね
俺達は卒業しても、一応アイドルやるみたいだし」





そう言って伸ばした薫の手は、Aの頬を軽くさすっただけですぐ離れていった。


そうしてひらりと笑って零の元に歩いていく。
　




きょとんとしたAを見る限り、scenarioに”これ”はないらしい。




1年という、薄そうで厚いscenarioにひとつひとつ、1節が紡がれていく。






「大好きだよ、Aちゃん


勿論女の子として
そして、同級生だった友達として、ね」






そう言って振り返った薫の後ろで、零も笑っていた。




それに眩しくなって、Aは手を伸ばす。







「……会いたい、…また」






想いは儚く、こぼれ落ちた。








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