React of the Queen. IV【あんスタ】

23 - 6 美しいフィナーレ ページ35

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「…おや、お早うございます


まさか貴方に、それもこの日の朝にお会いするとは」



「ええ、おはようございます、朱桜の


お待ちしていましたよ…☆」





そう笑い、長く青い、美しい髪は

本来ならば名誉高い、今日この日の風に揺れる。


ピリピリと肌を焼く緊張感に包まれて、まっすぐな瞳で見上げるのは、これも本来ならば望ましいほどの青空ではない。





「お待たせしていましたか


それは失礼しました、日々樹先輩」





愉しそうに笑った彼は、ぱちんと指を鳴らす。


相変わらず、何度見ても種も仕掛けもわからないような技で、渉は小さな紙切れを出した。




それに、僅かに目を細めて。





「おめでとうございます


あなたは無事にたどり着いた
この世界の”答え”に」





「…、それが、用？」





思わず笑顔のままそう聞き返してしまった私に、渉は笑みを崩さずに続ける。




何が、『この世界の”答え”』か

まだ何も終わっていない


そもそも、これからが本番だというのに





「勿論、”答え”を得るだけでは終わりではありませんよ

後はそれを”生かす”も”殺す”も貴殿方次第」




「……随分と人任せではありませんか


私のお願い、忘れていませんよね？」




「ふっふっふ…☆

私、楽しい劇の用意は欠かさないんです
君達と私達の舞台はどれ程美しいものでしょうね」





この人に心は無いのか。



不意に、目の前で笑う男にそう思った。

笑いながらこちらの様子を伺うようなその瞳を、密かに恐れた。





「……、」



「『恐ろしくはないのか』」





まるで人形のように、いつだか見た雑誌の中のmodelのように。





「ええ、私はとても恐ろしい
愛する人をこの手から零れ落としてしまうのが


だが私は演じるのです、観る者が思い描く私を
恐怖に恐れ戦く者を見て楽しい者がいるでしょうか」




「……お言葉ですが



恐怖に恐れながらも、懸命に立ち向かう
…どんなに見ていられないくらい醜くとも、一生懸命努力をし、剣を抜く者こそ

私は美しいと思います」





人によって、美しいと思うものは勿論異なる


それでも、

厳しい中でも必死に努力する者の姿は、誰の瞳にも、美しく映るのではなかろうか。





「……ええ



あなた方の辿り着いた”答え”が、無事に実ることを祈っていますよ」




「貴方こそ


この舞台の美しい終わりとやらを、この手に」






すれ違い様、私達は小さく、そう笑った。








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