Story 17『 story’s Dramaturgy 』 ページ29
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「レイ〜」
床にペンを走らせながら、ふと頭に浮かんだ障害を除外しようとする。
「何じゃ…
というか何でお主がここにおるのかえ…」
げっそりとした零は、じっとりとした目をおれに向けた。
「気付いたらここにいた!
レイ〜、ひとつ聞いてもいい?」
目を向けず、ペンを動かしたまま。
零は眠そうな声で唸る。
「…仕方ないのう、一個だけじゃよ…」
「ありがと!
あのさ、リッツってさ
おれに何か隠してると思うんだけど!」
そう言った後、物音がしなくなって、同時に霊感もぴしゃりと止まってしまった。
ペンを置いて、零を見る。
「…何で我輩に聞くんじゃ?
我輩、いくら愛しい弟とはいえ、魂を共にしておるわけじゃないぞい」
「…あー、ごめん、聞き方を変える!」
書いていた途中の楽譜を掴んだ。
グシャ、という音と共に、五線譜はあっという間に塵になった。
「おれって、おかしいのかな?」
また、零は止まる。
止まった後、少し困ったように笑ってこう言う。
「…言ってる意味が見えんのう」
「同じ夢を繰り返し見る
Aは何だか違ったように見える
リッツは、”思った通りの動きをしない”。」
「……思った通りの動き」
細められた赤い瞳に、まっすぐ答えた。
「世界が何かに沿ってるように感じる
ちっとも面白くない
リッツとAが海に落ちるのを見てから」
───これはどうして?
「……ほう
それは、興味深いのう
…何処ぞの七不思議のようじゃ」
床でくしゃくしゃになった紙に目線を落とし、
零はさっきまでの眠そうな顔が嘘のように
愉しそうに、目を細めて笑っていた。
「”世界が何かに沿ってるように見える”
…”シナリオ”のようじゃのう
一定に決まった枠から逃れられない、檻のような」
「………、何か知ってるの?レイ」
棺桶の中で、また零は寝転んで。
おれの位置から零は見えなくなった。
──誰が何を知ってて、何を隠してるの?
「さあ、どうじゃろう
じゃが、原因はおそらく嬢ちゃんと凛月なんじゃろう?
…なら、本人達に直接聞いて見るのが早かろう」
そう言った零の棺桶の隣には
紐で繋がれた紙コップがひとつ、転がっていた。
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まひる(プロフ) - *ピンク*さん» ありがとうございます、嬉しいです(*´ω`)これからの物語も楽しんでいただけるようなものであれば幸いです〜(人*´∀`) (2019年10月17日 21時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
*ピンク*(プロフ) - いつも楽しく読んでます!!更新頑張ってください!!!!! (2019年10月17日 20時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
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