12 - 5 疾風迅雷 ページ41
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「その戦いに、…なんの意味があるわけ?」
泉はまっすぐそう問うた。
掴んだAの手が、震えている。
これまでのシナリオとは、確実に違う。
英智が敢えて、自分からこう動いているのか、
もしくは、シナリオから逸れて動く者が英智を動かしているのか。
それとも、それ以外か。
「この戦は私が提案したのですよ
騎士さん達にふさわしい舞台を思い付いたので、お裾分けしてみました…☆」
場違いな雰囲気で、『あっはっは☆』と笑う。
渉は背後のAをちらりと見て、言った。
「”本来ならば”、今予定されている内部粛清はKnightsの通過儀礼のようなもの
英智はそれの手伝いとして入る予定でしたが
私はそれに、要素をつけ足して差し上げようかと…☆
”本当の女王の在処”を決める争い、fine vs Knights、貴殿方お得意の手法で」
何処からか出した黒い右手の手袋を、渉は笑ったまま地面へと投げた。
泉も嵐も、投げつけられた手袋をただ、不機嫌そうに睨んで。
「…つまり、前半は君達だけの
それが終わってから、僕達が飛び入りで君達に宣戦布告をする
…どうだい、面白いだろう?
予期しないライブに君達のファンも飛び付く
僕達もAの事について決着がつけられる」
「ふっふっふ
雰囲気作りで、貴殿方のやり方である手法で宣戦布告をしてみましたが
これも、本番はステージ上で
今は受け付けませんよ、その答えは…☆」
立ち止まっている集団に、回りを歩いて登校する”一般大衆”は不思議そうに眺めては通りすぎる者もいるが
多くの者は、そのやり取りを楽しそうに眺め、立ち止まり、話題に華を咲かせている。
『fineとKnightsの決闘だってよ!』
『Knightsの王が帰ってくるって!』
『プロデューサーの奪い合い…!?』
ざわざわと、辺りが騒がしくなってくる。
地面の手袋を拾い上げた渉に、Aは声を出す。
「ちょ、……ちょっと待ってよ、」
背後で、Aの声は揺れる。
「なんでそこまでして…、」
迷うことなく、渉は微笑んだ。
英智は、そんな渉を物珍しげに見ていた。
「貴女が、貴女であるからですよ、Aさん
では、次はステージ上でお会いしましょう…☆」
渉が指を鳴らした途端、辺り一面を桜吹雪が包んだ。
視界が開けたときには、
大きなざわめきだけが残されていた。
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まひる(プロフ) - 雪羅さん» ありがとうございます…!!妄想のままに描いているので賛否両論あると思いますが…(^-^; そういっていただけると嬉しいですー!(*´ω`)ありがとうございます(*’ー’*)ノ (2019年10月13日 11時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - 前からこの作品見続けています!繊細で綺麗な表現とか、儚い世界観とか、謎の多いキャラクターとか、すごく作り込まれていてまるでドラマを見ているようでした!これからも頑張ってください! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 227c03626a (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ありまさん» ありがとうございます…!そういったコメント頂けると、嬉しいです(*^-^*) (2019年10月9日 22時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
ありま(プロフ) - この作品の雰囲気がとても好きです。 (2019年10月9日 21時) (レス) id: ef20a5c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
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