9 - 1 鴉 ページ16
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「声が出なくなったァ…！？」
嵐は驚きのあまり、手にした紙をテーブルの上に落とす。
すっとんきょうな顔で、ただ黙った。
眉間に皺を寄せて。
「…どおりで喋んないわけねェ、朝っぱらから何も」
傍にいる少女は、Aじゃない。
「凛月くん、何だかずっと下を向いてて
私じゃ目も合わせて貰えないんだけど…」
手にあるスマホを握りしめて、ととっ、と軽やかに文字をうち、嵐の顔の前に突きつける。
「風邪かも、って…
…昨日倒れたのが原因だとは思うけど
その原因も何か分かってないしねェ、
昨日凛月ちゃんは頑張ってたけどォ、そんなに無理してるようには…」
そう言って、ハッとしたように嵐は言った。
「そういえば凛月ちゃん、昨日の後半、様子おかしくなかった？
客席に気をとられてか、パフォーマンスが疎かになってたじゃない」
「凛月くんが、？」
Aがいたから、あの場所にこの子はいなかった。
だからこの子は何も知らない。
「泉ちゃんが血相変えて駆け込んできたのには驚いたわよォ
凛月ちゃんもびくともしなかったし
Aセンパイなんか…」
──A？
Aに見られた？
「…ん、ああ、いや
Aセンパイは泉ちゃんに何処かにすぐ連れていかれてたわねェ
お蔭様で凛月ちゃんの看病はアタシよォ」
嵐は人差し指を顎にたて、天井の方に視線を向ける。
「まあ、そんなことはどうでもいいんだけど
どうするのォ？
凛月ちゃん、そのままじゃ暫く”そういう仕事”は無理よォ？」
視線を落として、スマホを打つ。
顔を上げないまま、前に突きだして。
「ごめん、って謝られてもねェ
凛月ちゃんが悪いわけでもないんだし？」
「というか、そのA先輩
昨日から見かけていないんだけど…
おまけに瀬名先輩も
2人とも何か知ってる？」
「あら？
あんずちゃんも知らないのォ？
アタシもあんずちゃんに訊こうとしてたんだけど」
「…知らないかぁ
…まあ夏休みだし、学校に来なくちゃいけないわけじゃないんだけど
昨日の今日で、少し心配で」
立ち上がった『あんず』は別れ際に言った。
「お2人、心配してたから
私から連絡しておくよ
早く治るといいね、凛月くんの声」
そう言われて
俺は何とも言えない気持ちになった。
自ら望んでこうなったであろう、今の自分の状況が故に。
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まひる(プロフ) - 雪羅さん» ありがとうございます…！！妄想のままに描いているので賛否両論あると思いますが…(^-^; そういっていただけると嬉しいですー！(*´ω｀)ありがとうございます(*’ｰ’*)ﾉ (2019年10月13日 11時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - 前からこの作品見続けています！繊細で綺麗な表現とか、儚い世界観とか、謎の多いキャラクターとか、すごく作り込まれていてまるでドラマを見ているようでした！これからも頑張ってください！ (2019年10月13日 9時) (レス) id: 227c03626a (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ありまさん» ありがとうございます…！そういったコメント頂けると、嬉しいです(*^-^*) (2019年10月9日 22時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
ありま(プロフ) - この作品の雰囲気がとても好きです。 (2019年10月9日 21時) (レス) id: ef20a5c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
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