# Take 79 ページ32
.
「…セッちゃんかあ
セッちゃん面倒くさいからなあ」
木の根元に二人して腰を下ろし、ぼうっと先を見ながら凛月くんはそうぼやいた。
「でもさ、ナッちゃんも言ったみたいだけど」
凛月くんは膝を抱えて顔だけこっちに向け、微笑する。
「Aは俺達をよく見てくれてるよ
確かに、俺達はアイドルで、観客の前では何処か取り繕ってたりするかもしれないけど
少なくとも俺は、KnightsとかAの前では、自然な俺で過ごしてるつもり
愚痴も、弱音も吐いてる
セッちゃんも、そうじゃないかな
少なくともセッちゃんは、観客の前では弱音も愚痴もないよ、完璧な瀬名泉を演じてる
でもね」
凛月くんが空を見上げたのにつられるように、私も空を見上げる。
そこには、心地良い青空が広がっていた。
「セッちゃんはAに甘えてるよ
セッちゃんにとって、Aはただの一人のファンってだけじゃない
きっと、セッちゃんは一人の女の子としてAを見てるし、頼れるプロデューサーとしても見てる
まあ、そーゆーとこはセッちゃんに聞きなよ
…セッちゃんは素直じゃないから、言ってくれるかはわかんないけど」
呆れたように笑って、凛月くんは膝に顔を埋めた。
私は、そんな凛月くんを横目にぼうっと前を見ていた。
今の私は、彼の目にどう写っていただろう。
「…A」
膝に顔を埋めたまま、凛月くんは私の方に顔だけ向けた。
私の左手を、彼の右手が覆った。
「自信持って、A
大丈夫だから
セッちゃんは絶対にAを傷付けたりしないよ
それはAが一番わかってるでしょ？」
頷いた私に、凛月くんは「いい子」と子供を宥めるように目を細め微笑んだ。
「好きなんでしょ、セッちゃんが
ファンとしても、一人の男としても
ずっと前から、わかってたんじゃない？」
「……うん」
「なら、言いなよ、ちゃんと
勇気持ってさ
Aはやればできるよ、いい子だもん」
私は子供か。
そんな風に思い、凛月くんの顔を初めて直視すると
凛月くんは改めて笑った。
「フラれたら、そーだなあ
俺のとこおいでよ
そのまま俺のものになってもいーんだよ？」
冗談めかしく、凛月くんは言う。
でもすぐ、「冗談だよ」と笑った。
「心配しないで行っといでよ
俺はAの味方だからねえ」
何度でも、彼は背中を押してくれた。
·
『何度でも助けたい、この想い』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - L:eta-starさん» ありがとうございます…！最近更新が遅めなのですが…それでも楽しんでいただけているようで何よりです！これからも精進します…！σ(*´｀*) (2018年3月17日 9時) (
レス) id: 203be79402 (このIDを非表示/違反報告)
L:eta-star - はじめまして、とても素敵です！お兄ちゃんしてるレオかっこいいです。瀬名もかっこよくて,,,,応援してます！ (2018年3月16日 23時) (レス) id: e6de48871a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
