# Take 77 ページ30
.
駆けた先にある、ガーデンテラス。
とある木の下を、いつものように覗くが、探している彼はそこにはいなかった。
小さなため息を吐いて、辺りをまた見渡す。
すると、独りの人影が視界に映った。
「やあ、A
こんなところで、探しモノかな？」
「…うひぃっ」
驚きと、ちょっと嫌悪、いいや、恐怖？
よくわからない感情と共に出た、変な声。
「そんな顔をしなくてもいいじゃないか
悪かったよ、以前は少しいじめすぎた
仕事の前置きである関係ない雑談で君を脅しすぎた
あのあと凛月に散々叱られてね、流石の僕も少し草臥れたよ
愛されているね、A」
優しい先輩にはかわりないのだが、
何を考えているのか、何処までを見越しているのか、
私には想像もつかなくて、少し苦手にも近い存在だった。
「天祥院先輩はどうしてここに…？」
「休憩がてら部活かな
今日は創が良いお茶を淹れてくれると言っていたから、少し楽しみにしてきたんだ
ね、凛月」
そういって、天祥院先輩は私ではなく、
私の背後にある大きな木の上に向かって笑みを向けた。
それは間違いなく今探していた存在であり
今一番会いたくて、会いたくない人。
「…凛月、くん」
「……やだなあエッちゃん
俺そんなに楽しみにしてる訳じゃないし
睡眠妨害。止めてくれない？」
そういって、木の上の凛月くんは太い木の枝に腰を下ろし、木の幹に寄りかかった状態で座って、
氷のように冷たい表情で天祥院先輩を見下ろしていた。
「今日は凄く不機嫌だね
しかも、今日は珍しく木の上だ
…凛月こそ、よっぽどひねくれているように見えるけれど」
「俺一っ言もひねくれてるって言ってないし
とっととあっちいって
俺は寝るっていう仕事があるの、邪魔しないで」
不機嫌そうに天祥院先輩を追い払うようにし、天祥院先輩の背中を見送ったあと、
凛月くんは漸く私を見て、ふんわり笑った。
「やほ、A
なあに、俺を探してここまで来たの？
今日はKnightsの活動日だっけ？
それとも、部活に出ろとか？それはないか
しっかしエッちゃんは本当にお節介だよねえ」
べらべら喋る凛月くんを前に、私は何処か安心してしまっていた。
良かった、いつも通りだ、と。
でも。
「凛月くん
仕事とか関係なく、話したいことがあってきたの」
.
『想いの告白、黄昏時の木の下にて』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - L:eta-starさん» ありがとうございます…！最近更新が遅めなのですが…それでも楽しんでいただけているようで何よりです！これからも精進します…！σ(*´｀*) (2018年3月17日 9時) (
レス) id: 203be79402 (このIDを非表示/違反報告)
L:eta-star - はじめまして、とても素敵です！お兄ちゃんしてるレオかっこいいです。瀬名もかっこよくて,,,,応援してます！ (2018年3月16日 23時) (レス) id: e6de48871a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
