# Take 72 ページ25
にこにことする守沢先輩は
私を眺めてただひたすら首をかしげていた。
「喋らないと俺も何も分からんぞ？」
「……喋りたくありません
…すみません」
「そうは言われてもな、俺は正義のヒーローだ！困ってる奴は見過ごせない！」
ただひたすら、こういう会話の繰り返し。
終わる気配が一向に感じられなかった、その時。
「だが、俺では口を開いてもらえないのも事実だな！
じゃあこうしよう！」
「え」
閃いた、と顔を急に上げた守沢先輩が
手にした携帯で何処かに電話をかける。
「…ええっ…
………あっ、……あのっ…」
「あ、もしもし俺だ！」
どうしてそんなオレオレ詐欺のような電話をかけるのだろう。
失礼きわまりないけれど、こんな人、初めて見た。
「え？え！？切るな！！切らないでくれ！」
そりゃあ切られるだろう。
心の中でひたすら突っ込む。
「俺の名は守沢…って切ろうとするな…！」
名前を言っても切られるのか。
「今から来れないか？
そうだ、仕事だ！俺達にとって重大な任務だぞ！」
笑った守沢先輩が、電話しながらとある方向を向いた。
そこから現れる、とある人影。
「…いや、俺流星隊じゃねえっすよ…」
現れたのは、困った様子でそっと携帯を耳から離した、
「…真緒、くん……？」
「おお、来たか衣更…☆待っていたぞ！」
「いや、生徒会の仕事でほとんど学校にいるし…
…って、A？
あー…、面倒なのに捕まったか…」
ため息を吐いた真緒くんは、私の傍に来てから守沢先輩に口を開く。
「で？仕事ってなんですか、守沢部長」
「Aの相談に乗ってやってほしい！
俺では中々話してくれなくてな！」
「相談……？
…何かあったのか？A」
ぽつり、ぽつりと振り出した雨の中、
彼は私に手を差し伸べた。
何も答えない私に、彼は少し黙ってから
漸く雨に気付いたようで私の手を掴んで優しく引いた。
「風邪引くぞ、そのままだと
守沢部長はもういいですよ、俺が何とかしときます
話すなら中にしようぜ
もう少しで授業も始まっちまうし
相談は、ちゃんと乗ってやるから、な？」
「そうか！悪いな衣更！」
守沢先輩を見送ってから、また、彼は優しく笑って、手を引いた。
「ほら、行くぞ、A
大丈夫、何もしねえから」
『とばっちりの気遣い』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - L:eta-starさん» ありがとうございます…！最近更新が遅めなのですが…それでも楽しんでいただけているようで何よりです！これからも精進します…！σ(*´｀*) (2018年3月17日 9時) (
レス) id: 203be79402 (このIDを非表示/違反報告)
L:eta-star - はじめまして、とても素敵です！お兄ちゃんしてるレオかっこいいです。瀬名もかっこよくて,,,,応援してます！ (2018年3月16日 23時) (レス) id: e6de48871a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
