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僅かな灯火 ページ23

「…イズミちゃん、素直じゃないんだけどねぇ
良い子なのよ?」





「はい、知ってます」





「…ふふっ、良かった」









笑った後、綺麗に整ったその顔は無表情になり、少しだけ、悲しそうに見えた。









「……イズミちゃん、気にしてるのよ」






「…何を?」






「貴女をここに連れてきてしまったこと」







「…え?」








「貴女は妖が元々見えていた
だから、こうしてイズミちゃんやリツちゃんを見ても驚かないし、寧ろ慣れている


……だからでしょうね。貴女はこの場所のホントの危険さをまだ知らないの」






「…危険、ですか…?」






「ええ。


あの死体……アタシ達は"鬼"って呼んでるけど
リツちゃんの鬼とは別ね



鬼は人間を狙う
鬼が触れた昆虫や植物は成長するエネルギー…これも霊力。それを吸いとられて朽果てる。

実際に鬼に襲われた人間がいた
前のレオのあの傷も、真くんが死んだ理由もすべて、あの鬼のせい


これはアタシの過去の話なんだけど………」









頬杖をついたナルさんは、うっすら笑って見せた。









「…アタシ、身内を皆鬼に殺されたの
アタシも鬼に殺されかけた





あの時の傷は永遠に癒えないの」









そっと捲った着物の袖。



見えたのは、真っ白な腕に刻み込まれた大きな傷、小さな傷。痛々しい傷の数々。









「……その時、回りには人間がいたわ
でも、人間はアタシを助けてはくれなかった


親も皆死んでいった
大切なものは全て破壊されていった




鬼が憎い。

……でもそれ以上に」









私に向けられた、紫の瞳。


物凄く恐ろしかった。









「……アタシは殺したいほど人間も憎い」









気づいたときには、ナルさんの布団に引きずり込まれて押し倒されていた。









.









.

紫を染めし黒→←大切な人



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まひる(プロフ) - ルーズリーフさん» はい!ありがとうございますσ(*´∀`*) (2017年1月18日 17時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
ルーズリーフ(プロフ) - 描いたらTwitterにでも載せさせて頂きますね! (2017年1月18日 17時) (レス) id: 9ef140d722 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ルーズリーフさん» はい!ぜひ~っ♪ありがとうございます!頑張りますね♪ (2017年1月18日 17時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
ルーズリーフ(プロフ) - 本当良いんですか?!嬉しいです早速描かせていただきます!2章も楽しみです♪ (2017年1月18日 17時) (レス) id: 9ef140d722 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ルーズリーフさん» お描きになってくださいって言い方はおかしいですけど…笑 描いていただけるのならこちらとしてはすごく嬉しいです(*´ω`*) (2017年1月18日 7時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まひる | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年1月9日 22時

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