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『真澄くん!』
真「………」
練習が終わった後、真澄くんに話しかけるも返答はなし。
まずいこと言っちゃったのかな。
笠「どうした?」
『…笠松先輩』
笠「碓氷がお前のこと無視するなんて珍しいな」
『私が余計なこと言っちゃって…』
笠「そんな顔すんな。アイツも本心から無視してるわけじゃねぇって」
頭をわしゃわしゃしながら言う。
元気づけてくれてるんだろう。
『ありがとうございます』
笠「おう。あっ、碓氷!」
ちょうど着替えを終えたらしい真澄くんが、こちらに向かってきた。
笠「今日もAのこと家まで送ってくれよ」
真「…わかってる」
笠「ちゃんと話し合えよ」
『…はい』
先輩の粋な計らい。
ただ少し、いや大分気まずい。
『さっきはごめんね?変なこと言っちゃって』
真「…………」
『えっと…』
会話が続かない。
真澄くんはずっと下向いてるし。
どうしよう。
「あれ?真澄くーん!!!」
なんて考えていると、後ろから突撃してきた女子二人組。
真澄くんのファンの子だろうか。
「やっぱり真澄くんだ〜!って、横の女の子誰?彼女?」
「んなわけないじゃん!バスケ部のマネージャーでしょ?」
「そうだよね〜、真澄くんには釣り合わないし!わざわざ送ってあげるなんて優しい!」
大丈夫。
黄瀬くんといるときも経験したことあるし。
釣り合わないのも、わかってるから。
『真澄くん?』
ふと、隣の真澄くんを見ると拳を握りしめていた。
『待って、真澄くん!』
大きな乾いた音が一つ。
なんで庇っちゃったんだろう。
頬っぺたがヒリヒリする。
真「…あっ…」
『私は、大丈夫だよ』
動揺している真澄くん。
こちらの声は聞こえていないようで。
「ちょ、なんか私達変なこと言った?」
「いいよ、もう早く帰ろ!」
取り残されたのは二人だけ。
真「ごめん…」
『真澄くん!』
そう言って、真澄くんは走り去ってしまった。
『上手くいかないな…』
"釣り合わないし!"
さっきの言葉が脳内でリピートされる。
『…わかってるよ、そんなこと』
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Gang ster×Sick - 私は真澄のモノになってもいい!貢がせて・・・。 (2019年11月16日 0時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲那 | 作成日時:2019年6月4日 7時