62話 お見送り ページ14
後方座席には宿泊客２名と助手席には雅紀。
ペンションに続いている木々のトンネルを抜けて本線道路に入ると海の香りがする。
今日もいい天気で雲ひとつない。
車を運転する智もそうだが、後ろの宿泊客も寝不足気味な顔をしている。
「……どうもすみませんでした」
「今度は静かな時に来ますね」
「是非静かなときにいらしてください。バスの時刻は30分でしたよね？」
「はい。確か……」
確認の為に時刻表を開いた客の口から焦りの言葉が落ちた。
「……見間違いしてました。15分です……」
15分出発。あと10分だ。
ギリギリに間に合いそうだ。
「大ちゃん、俺は弁当を届けるから砂浜で降ろしていいよ」
「俺が届けるよ」
「いいよ、その足で診療所行くから。そう遠くないし、気分転換にもなるし」
バス停お客お客を見送ったら診療所で待ち合わせることにした。
「お気をつけて」
「また来まーす」
車を降りる雅紀。
ペンションの車が見えなくなるまで手を振った。
「さて、弁当配達人」
砂浜を歩く。
サンダルを履いた足に太陽で温められた砂がかぶさってくる。
熱いけどちょっと心地がいい。
辺りを見渡しながら歩く雅紀は、例の大学生たちを見つけた。
大の字で寝転がっている。
「お昼を持ってきましたよ」
雅紀の声で起き上がった三人。
「来た来たメシ。腹減った〜」
雅紀の手から弁当を受け取った彼ら。
一人の青年大西はペンションの玄関前にフィンを忘れたから持ってきて欲しいと言ってきた。
「フィン？」
「足ヒレ」
「……足ヒレですね」
智はバスの送りで翔は駅への送り。
和也に連絡を取る。
その頃静かになったペンションでは。
ロビーのソファにてしばしの休憩中の和也と潤。
和也の携帯が鳴った。
相手は雅紀。
「はい、どうしました？」
『カズ、玄関前に足ヒレある？』
玄関を出ると二つ立てかけてあった。
「ありますけど」
『それ持って来られる？』
「車がないですね……」
「バイクならあるけど、俺持ってく？」
「潤君が持って行きます」
電話の向こうでにぎやかな声がする。
大学生たちだ。
その声を聞いた瞬間嫌な予感が走った。
「って、なぜあーばさんからそんな電話？あなた診療所に行っている筈でしょ？」
『いやそれがねお客……』
話の途中で電話は何故か切れた。
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むつき(プロフ) - みるくプリンさん» あたたかいコメントに私のほうが泣いちゃいます。兄さんたち6人も大好きな人たちです。これからも頑張ります！ (2022年6月8日 7時) (
レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 初めまして！勝利６人組が好きなんですが、たまたまこの作品に出会いました。感動して泣きました、是非ドラマ化して欲しい(^.^)素敵な作品をありがとう。これからも頑張ってくださいね。 (2022年6月7日 18時) (レス) @page41 id: e740d416ca (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» ありがとうございます。温かい言葉にやさぐれていた心が穏やかになりました。こちらこそ感謝です！ (2021年9月16日 20時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - 久しぶりに読み返させていただきました。ちょっぴり凹んでいた心がほこほことあったかくなりました。ありがとうございます。大好きなお話です。またおじゃまします。 (2021年9月14日 22時) (レス) id: 84d56b057b (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - めいさん» 二回もたどり着いて頂いて嬉しいです！ありがとう！ (2015年12月2日 18時) (レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2012年8月2日 21時
