sleepy 12 〜国見side〜 ページ13
「あっつ、、、」
風呂あがり、髪の毛をタオルで擦りながら自室へと戻った。
勢いのままベッドへと腰をかけると、お尻の下になにか違和感を感じる。
立ち上がりベッドの上を見てみると、そこにはA先輩から借りたカーディガンが置いてあった。
どうやら自分で踏んでしまったようだ。
「やば」
借り物なのに。
と慌ててカーディガンを広げ、しわを伸ばす。
広げている最中、先輩のカーディガンの匂いを嗅いでみる。
一呼吸してみると、鼻の奥にすぅっと匂いが入ってくる。
うん。この匂いだ。
はたから見たら他人のカーディガンの匂いを嗅いでいる俺は相当やばい奴だろう。
まぁ自室には自分一人しかいないし、そんな気にすることもないが。
昨日も思ったけど、やたらと落ち着く匂いだ。
抵抗なく匂いが体に入ってくる感じ
それがすごく心地良い。
でも先輩が使っていると言っていた柔軟剤を直接嗅いでみても、匂いには違和感があった。
むしろ苦手な匂いの部類だった。
なんでだ？
よくわからない。
A先輩には悪い事をしてしまったかもしれない。
俺の体調管理の件もそうだけど、カーディガンの件も
借りる時、少々無理やり感はあったが、どうしてももう一度あの匂いに触れたくて仕方がなかった。
「ふぁ、、ねむ」
と自然と欠伸が出てくる。
時計を確認すると、時刻は21時23分と表示されている。
眠るには早すぎるか
と思っていても、眠気にはかなわない。
こんなに眠いと思ったのはいつ振りだろう。
抵抗することなく俺はベッドに体を預け、目を閉じた。
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作者名：ますだ | 作成日時：2023年10月25日 2時
