sleepy 11 ページ12
「え、私のカーディガンを？」
どういう事？
「なんかその匂い落ち着くんです。それがあれば眠れそうな気がして」
と私のカーディガンを指さす国見君。
あ、そういう事か
とここで国見君が考えている事が理解できた。
「私のカーディガンを使えば、匂い効果で眠れるんじゃないか、、、って思ったってこと？」
「そうです」と即答する国見君。
なるほどね、同じ柔軟剤を買っても効果がないなら確かにその案はありかもしれない。
けど、、、
「でもこれ洗ったの一昨日だし、それに私もう何回も着てるし」
パッと見は綺麗に見えるが、もう1年以上着続けている物だ。
これを貸すとなると、少し気が引けてしまう。
「嫌ですか？俺に貸すの」
「そういうわけじゃないんだけど、、、」
うーん、、
「貸すのはいいんだけど、そこまで綺麗なものじゃないよ？」
「大丈夫です」
綺麗なものではないという事を再度説明しても、国見君の意見は変わらないようだ。
いやでもせめて
「明日洗ってからじゃダメ？」
「今がいいです。少ししたら返すんで。」
と急に強引になる国見君。
余程この匂いが気に入っているのか。
仕方ない。
私は羽織っていたカーディガンを脱ぎ
「これでいい？」
と国見君に渡した。
「ありがとうございます。それじゃあA先輩が寒いと思うので、よかったらこれ。」
といい国見君が渡してきたのは、彼の所持しているカーディガンだった。
高校指定のカーディガンとは言え、私が国見君の物を着るとなると大きすぎやしないか、、、
「ありがとう」
彼からカーディガンを受け取り、広げてみると
いや、でっか、、、
案の定大きい。
「サイズ合わなくてすみません」
「全然大丈夫、でもこれ私が借りちゃっていいの？」
貸してくれるのはありがたいが、逆に国見君が寒いんじゃ
「サイズ合わなくなったのが家にもう一つあるんで大丈夫です」
成長期の男の子って感じの返答をされた。
「じゃあ遠慮なく借りるね」
国見君の言葉に甘え、私はカーディガンを借りることにした。
その後、私と国見君は道の途中で分かれ、それぞれ帰路についた。
国見君、ちゃんと眠れるといいけど、、、。
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作者名：ますだ | 作成日時：2023年10月25日 2時
