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バスが止まったのであわてて降りて、スマホを操作する。
すると画面が明るくなってマスクをつけたセンラさんが映る。
「え、ビデオ通話！？」
『えー、真っ暗やん！全然顔見えへんやん』
センラさんの後ろにちょろちょろと頭が見え、坂田さんの声が聞こえる。
『坂田うっさい！』
『だってどんな子か気になるやん』
わちゃわちゃしてる2人がおもしろくて思わず笑ってしまう。
「ふふっ」
『Aちゃんごめんな。ところで画面真っ暗やけどまだ家着いてへんの？』
家に着いたという連絡がなかったから電話してくれたんだろうか。
「連絡遅くなってしまってすみません。配信おつかれさまでした。センラさんに連絡したときちょうどバスが出てしまった後だったみたいで、あれから少しバスを待ってたのでこんな遅くなってしまいました。田舎のバスの本数は少ないんですよ」
『じゃあもうすぐ着くんかな？』
「そうですね、１５分ほど歩けば着きます」
そう伝えるととてもびっくりした顔をする。
『バス停からとおない？！』
「そうですか？田舎なんてそんなもんじゃないですか？」
生まれた時からこうなのであまり苦痛には思わない。
確かに１人暮らしで東京に出たときはその便利さに感動したけど。
『あ、でも終電が早いのは学生のとき嫌でしたね。友達より早く帰らなきゃいけなかったので』
なんてそんなたわいもない話をする。
しかもマスクしてるとはいえ顔を見ながら話ができるなんて幸せすぎる。
「でもなんでビデオ通話なんですか？」
『坂田がAちゃん見たいってうるさかってん』
「そうなんですか？私の顔なんて見てもなにもないと思いますが・・・。私的にはラッキーですけど。なんだかこっち暗くて全然映ってなくてすみません」
私の顔なんてわざわざ見せたいものでもないし暗くてよかったなーなんて思う。
『そんな暗かったら女の子が一人で歩くには危なない？』
突然マスク姿の志麻さんが画面に現れる。
「志麻さん！こんばんは。はじめまして！蒼野Aと申します。配信とても楽しかったです！」
志麻さんが現れたことにびっくりしてとりあえず挨拶をする。
「えーっと、確かに暗くてちょっと怖かったんですけど、今日はこうやってビデオ通話していただいてるので全然怖くないです。むしろ楽しいです！」
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作者名：蒼野真白 | 作成日時：2020年4月13日 10時
