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小さい頃はパパと太ちゃんと。
中学生の時は私から太ちゃんへ強引に。

以来の、唇を合わせるキス。

「せ、先輩っ」

「俺にキスされるの、嫌だ?」

「そんな訊き方っ」

「うん、狡い、分かってる。でもAも狡いだろ、拒否しないんだから。好きって言ってくれないくせに拒否んないんだから」

言われて、顔がカッと熱くなった。

「A」

北山先輩に耳元で名前を囁かれるだけで、まるで金縛りにあったみたいに動けない身体。

交じり合っている北山先輩と自分の鼓動に、1つに溶け合ってるみたいな錯覚に陥る。

私が、先輩を、好き...?

これが、恋...?

「A、もう1回」

「え?」

「大人のキスしてみない?」

誰もいない夕暮れの部室。

私を見つめる北山先輩の目は、矢を放つ直前の、引き分けの時のような力強さと男らしさを秘めていて。

私でも理解る雄の気配と色香に、心臓が破裂しそうな程波打ち出す。

これが、男の人。

普段と纏う雰囲気をガラリと変えて。

私が太ちゃんに待っていたのはこれだったんだと気付く。

こんな風に男の目で私のことを見て、接して貰いたかった。
高校生になったら叶うと思っていたこと。

一体何人の女が太ちゃんの男の姿を見てきたんだろう。
考えるだけで泣きたくなる。

どうしたらそこに入れて貰えるの?
私が大人になれば入れて貰えるの?


誰に?

北山先輩、に?


「A」

名前を呼ばれてはっと我に返る。

「黙ってるってことは、いいってことだって解釈するから」

動かない私に北山先輩がキスをする。

さっきよりも強く押し付けられる唇。

「目、閉じねぇの?」

くすっと笑う北山先輩。

「いいよ。じゃ、そのまま俺を見てて」

そう言って、私を見つめたまま、私の下唇を甘く食み始めた。

こ、これもキス....?

下唇を吸われて離される度に、身体に甘い痺れが走る。

「ンッ...ハァ...」

やだっ、変な声出た!

「可愛い...」

キスをしながら、北山先輩の手がいつの間にか耳の後ろを優しく撫で始めた瞬間、ゾクリと全身が粟立ち、身体の力が抜けていく。

こんなの、知らない。
全然知らない。

力が入らなくて、頭がぼうっとして、なのに何かに火がつきそうで怖くて。

「A?」

崩れ落ちる私の腰を、慌てて抱き止める北山先輩。

「まさか、これだけで腰くだけちゃった?」

やべぇな、と北山先輩が呟く。

「そんな初な反応されたら、止まれなくなるんだけど」

優しく床に倒される身体──

6→←4 G



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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時

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