prologue F ページ1
俺の初恋は、捨て猫みたいに毎日街をふらふらしていた高校生の俺を拾ってくれた、凛として男前のとても美しい人だった。
俺はすぐに夢中になった。
彼女の心が他の男のものだと知っていても、それでも傍にいたいと思う程。
傍にいられるだけで幸せだと思うくらい、その時の俺は、彼女しか見えなかった。
彼女は俺が生きる世界の全てだった。
けれどその時の俺はまだ何も出来ない子どもだった。
してもらうばかりで、守って貰うばかりで、甘やかされるばかりで。
だから早く大人になりたかった。
早く大人になって、彼女を全てのことから守れる男になりたい、早く彼女に相応しい男になりたい、そう思っていた。
けれど俺が大人になる前に、彼女は俺の前からいなくなってしまった。
彼女を失うと同時に、世界もまた一気に色褪せ、精彩を欠き、全てのものが枯渇したかのように生気を失った。
きらきらと輝く美しい世界の喪失。
彼女を失った悲しみと痛みから逃げるように、俺はバイトに没頭した。
やがて様々な女性と出逢い関わっていく中で、子どもの俺も少しずつ大人になっていく。
彼女に出逢えてなかったら。
彼女が俺をこの世界に引っ張ってくれなかったら。
俺はいつまでもどうしようもない人間のままだっただろう。
玉も俺も、彼女に拾われ、愛の欠片を貰ったことで初めて誰かを本気で愛することを知った。
愛を、知ったんだ────。
*
俺はいつも彼女の面影を誰かの中に探していた。
忘れることなど出来なかった。
単なる想い出にしてしまうことも。
今の恋人も、何処となく雰囲気が彼女に似ていたから好きになった。
年上で、凛として、男前で、綺麗で。
最低なのは理解ってる。
だけど、何処かに彼女の面影を感じなければ、俺は誰のことも好きになれなかった。
未だに心も身体も彼女に囚われている。
別れて何年経っても。
そんな時だった。
玉が、偶然彼女を見かけたと俺に伝えてきたのは。
終わっていたと思っていた彼女との運命が、再び動き始める。
玉の手によって。
彼女のことをずっと忘れられずにいたのは俺だけじゃなかったんだと初めて知った。
大人になった玉は、昔みたいに俺や周りに遠慮することはなく、強い覚悟と勇気で愛する人を救い出す。
俺の入り込む隙などなかった。
彼女を救いに行く勇気も、今の彼女を捨てる覚悟もなかった俺は、そんな2人をただ見守ることしか出来なかった────。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時