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特にしたいことも、なりたいものもなかった俺は、大学4年の時、親の言うまま高校の教員試験を受けた。

そして結局そのまま高校教師となって、今に至る───。





あなたが幸せであれば、それでいい。

たとえ、隣にいるのが俺じゃなくても。

そう思う気持ちに嘘はない。

昔は、欲しがるだけの愛ばかりを押し付けてきたけれど、今はあなたの幸せを心から願うことが出来るから。

玉の真っ直ぐで強い愛に包まれて幸せなあなたをちゃんと祝福出来るから────。





どの恋人とも結婚まで踏み切れないまま、出逢いと別れを繰り返している俺をいつも心配してくる玉。

「人生、別に結婚が全てじゃないし」

「そりゃそうだけど」

仕事はそれなりに上手くいっているし、不自由は別にない。
今の恋人にも特に不満はない。

高校の時に経験した、狂おしい程に相手を想い、欲し、苦しんだ恋とは全く違うけれど、でもそれが大人になるということなのだと俺は自分に言い聞かせていた。

あんな風に誰かを愛することはもうないと、心の何処かで分かっているから。

「結婚したいって言われない?」

「言われないよ」

「ガヤから言うの、待ってるんじゃないの?」

「かな」

俺より4つ年上の彼女は今年32歳になる。

付き合って3年、彼女が俺の言葉を健気に待っていることは気付いていた。

だから何度もプロポーズしようかと思った。

けれど玉の家に遊びに行く度、どうしても決心が揺らいでしまい、未だにプロポーズすることが出来ずにいる。

幸せそうな家族の姿を見る度に、言い様のない寂しさが胸を襲って、自分にはこんな幸せな家庭は築けない、そう感じて。

中途半端に家族になって、相手を傷つけることだけは絶対にしたくなかった。

最低だな、俺。

こんなことを思う時点で、本当は順調なんかじゃなく、最初から終わってるも同然なんだろう。

自分のエゴで彼女を縛り付けているだけで。

ならば早く彼女を解放してあげればいいと理解っているのに、狡い俺は別れも切り出せず、ずるずる付き合い続けている。

「まぁ、いつか自然に結婚したいなって思った時にすればいいとは思うけど」

ガヤなら中年になってもいくらでも若い女を捕まえられるだろうし。

玉がそう言って笑った時、お昼寝から目が覚めたAが、目を擦りながら寝室から出てきた。

「たい...たいっ」

俺に気付いて一目散に駆け寄ってくるA。

「おはよ、眠り姫」

俺はその小さい体を抱き上げた。

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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時

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