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これはきっと若さゆえの真っ直ぐで、無鉄砲で、向こう見ずな恋。
自分の気持ちばかり押し付けて。

だけどそれは決して過ちでも、間違いでもないってママなら言ってくれるだろう。
自分の意思で幸せを決める代わりに、失う痛みも苦しみも覚悟してるから。

だから太ちゃん、お願い。

太ちゃんになら何をされても後悔はないから。
幸せしかないから。

だから、お願い。

この報われることのない可哀想な恋に、どうか最後の、死ぬ間際まで決して忘れることのない記憶を下さい。
たった1度しかない、初めてという想い出を。

初めてに、大きな夢と憧れと期待を持つのはきっと女だけなのかもしれない。
本当はそんなものに大して価値はないのかもしれない。

それでも。

愛されなくてもいい。
付き合えなくても。

初めてだけは、太ちゃんがいいと思うことすら、叶わない夢なの?

「太ちゃんは私の最後のお願いすら聞いてくれないの?」

もういい加減叶わない恋の苦しみから解放されたいから。

「たった1度だけでいいの」

「もっと自分を大事にしろって...」

全く心に響かない太ちゃんの言葉に笑いが込み上げる。

大事にしてるから、太ちゃんがいいのに。

「そんな簡単な気持ちで─」
「こんなこと、簡単に言ってると思うの?私の気持ちをちゃんと見ようもせず、誤魔化して、逃げているのは太ちゃんの方だよ」

誰もが夢のような理想の初めてなんて経験出来るわけじゃないい。

「仕方ないじゃない。私はそれでも太ちゃんがいい。初めては太ちゃんがいい。それだけで」

長い間心にずっと溜め込んできたこの気持ちが報われるのに。

「太ちゃん、私にたった1度だけ太ちゃんを下さい」

私が太ちゃんに捧げるんじゃない。
私が太ちゃんを欲しいだけ。

この世界であなたと出逢った意味を、記憶を。
太ちゃんの温もりを、匂いを、声を、熱を。

たった1度だけでいい。
私を見て。
私に溺れて。

「俺は...」

戸惑い揺らめく太ちゃんの瞳。

揺れるのは、可能性がゼロじゃないから。
私のことを嫌いじゃないから。

そうだよね?

私はその可能性にかけたい。
ママの代わりでもいい。

ママにそっくりに生まれた私。
それで太ちゃんを引き寄せることが出来るなら。

「16になったら私を太ちゃんの家に入れてくれるって言ったの、ちゃんと守って、1度でいいから」

友達に呼ばれて、友達の家に泊まりに行くことになったとママのLINEに入れる私を、太ちゃんは黙って見ていた。

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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時

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