【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。 (ページ31)

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悩みが二十九ページ31

A視点

不味い。控え目に言ってまずい。どうしよ、ここどうやって切り抜けたらいいの？

前世があるとか言ったら間違いなくいかれてる認定だし、かと言って半端に嘘を吐けばバレるかもしれない。

いやそれこそ前世の私が喋っていたなら即全バレだっただろうが、今は無駄に高スペックなので大丈夫。

しかしそんな高スペックな私でも下手に嘘を吐ければこの弟にならバレるかもしれない。そしたら誤魔化すハードルが上がるし……

……うわ私今までにない危機感を覚えてるんですけど……なんで弟に危機感を覚えにゃならんのだ……

『……。逆に聞くけれど、治には私が何を見ているように見える？』

「言ったでしょ、物語だよ。一つの物語。神様が未来を記した由緒正しく清らかな聖典を読む権利が姉さんにだけ与えられているようだ。

姉さんは未来が知識として存在する。そうでしょう？」

なんでそこまでわかるんディスか！？！？嘘だろ承太郎！？マジ！？我が弟ながら人外過ぎでは！？

……ああ、いや……頑張れば行ける。うん、今の私ならいける。だって太宰治の姉だから。頑張れ私。

『そう、そうだよ。私には確かに未来が知識として存在する。けれどそれは完全なものではない。

……ねぇ、治。覚えておいて。私のこれは知ってはならない。これは希望に満ちたものではない。

言うなればパンドラの箱。知っていていいことは一つもないし、知れる未来などたかが知れている。』

「それでも、姉さんが知っている分だけでも有効活用できれば僕たちはずっと有利になる。

それに、それも姉さんの頭なら簡単でしょう？何に恐れているの？」

過大評価！！！その無垢なまなざしが痛い！ていうかお前無垢なまなざしとかできたの！？

うわもう胃がキリキリどころかギリギリ言ってる……つら……

しかし動揺は面に出さず弟同様胡散臭く儚げな微笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。

『いい？これは祝福ではない。希望ではない。絶望であり呪いでしかない。

活用しようなどと考えてはいけない。お願い。どうか分かって。分かってくれるなら誰にも黙っていて。

もう、二度と、あんなことは起こしてはならない。もう二度と、私はこのことについて何も言わない。』

笑みを取り払い、真剣そのものの眼差しで弟と視線を合わせる。

よし……もうこうなったらとことんやってやるぞ私は……