【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。 (ページ30)

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悩みが二十八ページ30

A視点

そう答えると、弟はさらに微笑みに分かる人しかわからない暗い色を混ぜて羊のメンバーに向き直り、そのよく回る口をもって原作通りに事を進めていく。

何度も言うが我が弟ながら途轍もない胡散臭さである。ドリアもかくやと言った模様だ。

一番問題なのはこの弟は本気になったら胡散臭さを丸ごと包み隠してしまえることである。

そうなるともうそれはただの対人兵器となる。ガッデム。

そんなことを考えつつ、決して本から目を上げない私であった。だって巻き込まれるの嫌だもん。

そしてその後は私の警戒を笑うようにあっさりと事が進んだ。

人質を解放し、羊と中也の間に亀裂と疑心の種を蒔いて成長剤をぶち込み、私は終始『重要な話をしてる中特に何をする訳でもなく本を読んでる変な奴』だった。それに気づいたとき内心泣いた。

話が終わって羊の人達が去ったころ、私は本を閉じて立ち上がる。

確かここでいったん原作小説は途切れてたな……暫くは安心だし、これでようやく気が休まる。

いやまぁ闇社会の住人なので警戒は怠れないんですけどね。怠った時が永眠の時です。つら……

そこまで考えて胃がキリキリしてくる。胃薬が欲しいです安〇先生……！！！

「姉さん。」

『何？』

弟が声を掛けてきた件について。

「最近の姉さんは可笑しいね。妙に警戒したり、安堵したり、未来を知っているようなそぶりを見せたり。

まぁいつもと言えばいつもの事なんだけど、最近はそれが顕著だ。

まるで物語でも見てるようなそぶりで今日を明日を昨日を過ごす。ねぇ、姉さんには何が見えているの？」

感づかれてきている件について！？！？

ウッッワ人心掌握術の権化怖ッッッ！！何なの？サトリなの？コッワ！！！流石ですわ怖い！！！

しかし私もね！今はそれの姉なんでね！！動揺なんて表に出ないんですよ！！それもそれでね！アレなんだけどね！！！