【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。

悩みが二十二 ページ24

A視点




そんなことを考えていると、弟が原作小説通りにこの人に向かって銃を乱射し始める。

まぁ原作通りとはいえど私が異能を使ったせいかこの人との会話シーンはバッサリカットされたけども。




「ははは。なんて贅沢だ。姉さんの異能に掛かって、この世で一番幸福な死を迎えるなんて。ははは。」




私は新しい煙草に火をつける。さっきの煙草は殆ど火をつけてるだけで味を感じられなかった。吸うの忘れてた。勿体ねぇ………

そんなことを考えているうちに弟の銃は中也さんに蹴り飛ばされていた。




「やめろ莫迦。もう死んでんだろ。無駄に死体を撃つんじゃねぇ。」




そう言われた弟はきょとんとした顔をしていた。

私が見てきた中でも結構上位に食い込むレベルで年相応な顔だった。




「そうだね、その通りだ。普通はそう考えるんだろう。」




そういって、弟はあらゆるものに興味を失ったような表情で私の手を引いて歩き始めた。

その姿がどうしようもなく幼く私の瞳に映る。

口から剥がれ落ちるように、吸い終わった煙草の白い煙が漏れ出た。片手で本を開いて読み始める。




「ははは。普通か。はははは。

＿＿＿＿＿＿＿ねぇ、姉さん。」



『どうしたの？』



「確かに、姉さんに比べたら、僕はまだまだ普通だね。」



『え？』




いやそれはないだろと思いながら、なんかもう否定するのもめんどくさかったので取り合えず笑って誤魔化しておいた。

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