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58話……です ページ13

Aはパタパタと部屋から出ていったお花を見送ると、柱の影からこちらの様子を伺っている少女を見つけた

貴「そこは寒かろう。おいで、凛」

急に名を呼ばれたことに驚いたのだろう

凛と呼ばれた少女は目を丸くさせ、体を強張らせた

凛「お兄さん……だあれ?私の事知ってるの?」

少女は無表情のAが怖いのだろう

いや、大人でも怖いが……

Aはそんなのお構いなしに話し続ける

貴「ああ、覚えていないか。昔お花さんに世話になった檜佐木Aと言う。宜しくな、凛」

凛「私……知らない」

今も尚、少女はビクビク震えている

貴「そらそうさ、お前さんはヨチヨチ歩きがやっとできた位の餓鬼だったからな」

凛とAとの距離が縮まる事なく、出された茶が冷める頃には大きな木箱を持ったお花が戻ってきた

お花「確認してちょうだい」

蓋を開けるとると紫色の生地に紫陽花があしらわれている立派な着物があった

凛「わあ…きれい……」

お花が来て安心したのか、いつの間にか凛が近くに来ていた

貴「確かに確認した。ありがとうお花さん」

お花「いいのよ、これくらい。それより貴女、今は何処に仕えているの?」

お花は笑うと、ふと真面目な顔をした

貴「今も豊臣に……石田三成を主としています」

お花「そう……ずっと心配していたの。秀吉様が亡くなってしまったからAがどうなるのかと…」

貴「檜佐木家が豊臣の手で壊滅させられ、豊臣の家臣として強制的に召し抱えられましたからね……」

檜佐木家は中国地方の所謂、地方武士である
領地は京や、大阪に近かったために豊臣に攻められ、手に落ち滅亡と言う訳である

その時Aは、力を見初められ、逆らうこともできずに豊臣に召し抱えられたのだ

貴「今は自分の意思で仕えているので心配は無用ですよ」

お花「なら良いけど……」

納得いかないとでも言いたそうなお花

お花「貴女は何時も無理をするから心配なの」

貴「無理なんてしていませんよ。大丈夫です」

安心させるように笑って見せればお花は困ったように微笑んだ

お花(またそうやって無理に笑う…)

お花「……やっぱり今晩は泊まっていきなさい」

貴「拒否権は?」

お花「無いわよ」








まだ日が出ぬ時間Aは『菊屋』を出て港に向かった

現在は海の上

知り合いのおじさんに船を出してもらった

空はまだ闇を含んでいて船に付いている蝋燭の明かりを頼りに四国へと向かった____

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梗谷(プロフ) - またまたコメントありがとうございます!!和んで頂いてよかったです!幸村様可愛ですよね(*´∀`)戦の時とのギャップがまた好きなんです! (2016年6月28日 16時) (レス) id: c7e9fbbed0 (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - 幸村氏が…迚頗るとびきり目玉が飛び出るほど、いや、この場合目に入れてもいたくないほど、可愛いです。 そこで破廉恥だって叫ぶ時点で幸村氏ですねー(和み和み) (2016年6月28日 12時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒城 | 作成日時:2016年6月23日 20時

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