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朝食を食べ終えて、洗濯物を干すと私が学校へ行く時間となる。
「では、行ってきます」
「・・・うん」
名残惜しげに私を玄関に見送りに来る智実さんは猫より犬っぽい。
私の頭をそっと撫でた智実さんを見上げると先程は気づかなかったが少し髪がはねているところがある。
「ここ、はねてますよ」
そう言って智実さんの頭に手を伸ばし、手ぐしで整える。
「もう、だいじょ、んッ」
急に腕を引かれてキスをされる。
「美詞、反則」
「は、反則!?」
髪を触るのは反則行為?イエローカード、否、レッドカード退場か!?
「触っちゃって、ごめんなさい・・・」
オロオロとする私に智実さんはクスッと笑った。
「もっと触って。俺の頭たくさん撫でて」
そう言って掴まれていた手を智実さんの頭に乗せられる。戸惑いながらも言われた通り、ふわふわの髪の毛を撫でると、智実さんは満足気に微笑んだ。
「今日は早めにあがれたら迎えに行くね」
「えっ、それは悪いですよ!」
「いいから。1秒でも長く美詞といたいの。あっ、そうだ、今日の夕飯は外食にしよう。連れて行きたいところがあるんだ。それに、俺がお坊ちゃんじゃないとこも見せてあげるよ」
「えっ、いや、そもそも私は智実さんのことをお坊ちゃんとか、」
「はいはい、遅刻するよ。また、放課後ね」
珍しく智実さんに急かされて玄関を出る。確かに、早くしないと電車に乗り遅れる。
私はマンションから出ると走り出した。
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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2020年12月25日 20時