06 : 願ってしまった ページ7
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寧彩といると、どうしてだか、嘘が口をついて出ることがある。
思ってもない事なんざ、死んでも口に出したくないと、そう思っていた俺の口から何故だかふいに嘘が出る。
どうしてなのか。
俺にはまだ分からない。
けれど。
それでいいと思えたんだ。
嘘で塗り固められて、存在すらあやふやになった本当の中に見え隠れするこの感情。
それこそ、俺たちの関係にピッタリだと思うんだ。
▽
「……♪＿＿♪…♪」
聞き覚えのあるメロディだった。
曲名こそ分からないものの、誰しもが絶対に一度は聞いたことがあるだろうと思われる、代表的な曲。
チラリと覗き見た楽譜に大きく綴られた曲名は『英雄ポロネーズ』。作曲者はショパン。道理で聞いたことがあるはずだ。
綺麗で儚いピアノの音に耳を傾け、身を委ねる。
自尊心でガチガチに張り詰めた心を溶かすようなソレは、聞いていて何だか安心できるものだった。
6分…いや、7分程経過して、ピアノの演奏が止む。
昨日より大分長かったな。そんな事を頭の片隅に置きながら伸びをするとバキバキと背骨が音を立てた。長時間座っているのはやはり疲れる。
「ね、どうだった？上手だったでしょう？」
「……いやに自信満々だな」
「だって、昨日褒めてくれたもの」
けらけらと笑いながら俺に問いかける。
上手下手を問われれば、間違いなく上手い。しかし細かなアドバイスなど俺にはとてもじゃないが出来ない。なにせピアノなど演奏したこともないのだから。
そこまで考えて、昨日、コンクールがどうとか言っていたことを思い出す。
それなら尚更、音楽科の教員に聴いてもらった方がタメになりそうなものだが。
そう、口に出そうとしてやめた。
何故か。それはきっと、
「また明日ね、勝己くん」
また、コイツが奏でるピアノを。
コイツの花のような笑顔を。
鈴の音のように透き通った声を。
明日も続くことを、願ってしまったからだろう。
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りこ(プロフ) - 、さん» 外し忘れておりました。大変申し訳ございません。 (2018年2月14日 8時) (
レス) id: 40f7ee34c3 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグ外して下さい (2018年2月14日 1時) (レス) id: 6903784267 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2018年2月14日 1時
