07 : 所詮その程度の関係 ページ8
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俺は、人の名前を覚えない。
他人に特別興味が無いのだろうと言われてしまえばそれも間違ってはいない。
けれど、ぶっちゃけ「必要性を感じない」というのが概ねの理由だった。
それこそ石っころのように山程転がっているモブの名前を覚えることになんの意味があるのだろうか。
俺はずっと、そうやって生きてきた。
けれど俺は、俺よりも個性も、頭の良さも、運動量も劣る寧彩の、何もかもを知っていた。
名前も、個性も、好きな食べ物も、将来の夢も、どうして雄英に入ったのかも。
ペラペラと勝手に話し出すその内容すべてが、
俺の脳裏に、鮮やかに映し出されるのだ。
▽
「……ピアニスト？」
ホームルームの後に、音楽室に足を運ぶ。
もはや日課と化したソレに、俺は満足していた。
そして、今日も音楽室に足を運んだところ、今日は体調が優れないのでピアノは弾かないそうだ。じゃあ帰ればいいのにとツッコミたくなるが、いくら言っても帰らない事は目に見えているので黙っておくことにした。
そこで将来の夢を聞かれたので、中学校時代から変わらぬ野望を恥じることなく口に出して伝えてやると「勝己くんらしいや」なんて笑われた。
少し癪に障ったので相手に聞き返すと、ピアニストだと返ってきたので、思わず素っ頓狂な声が上がった。
そんな俺に苦笑しながら言葉を続ける寧彩。
「そう。ほんとは、なりたかったんだけどね」
「……なりゃあいいじゃねえか」
「随分簡単に言ってのけるねぇ」
聞いたところによると、ピアニストとはかなりシビアな世界らしい。
ピアニストが活躍する場なんて限られているのでそれだけで食べていける人はほとんどいないとか。
他にも色々聞かされたが要約すればこういう事だった。
「つまり、ピアニストになるのは難しい。だから諦めた、と。そういう事だな？」
「うん、まあそうなるね」
なんだか納得がいかないような気もするが、寧彩が決めてそれで納得しているのなら俺に口出しする権利などない。
そもそも、寧彩の進路に口出し出来るほど深い仲なのかと問われれば間違いなく答えはノーだろう。
寧彩はピアノを弾き、俺はそれを聴く。
俺たちの関係は、所詮その程度のモノなのだから。
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りこ(プロフ) - 、さん» 外し忘れておりました。大変申し訳ございません。 (2018年2月14日 8時) (
レス) id: 40f7ee34c3 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグ外して下さい (2018年2月14日 1時) (レス) id: 6903784267 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2018年2月14日 1時
