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Aの夏休みは今までにないくらい充実していた。
ロンやハーマイオニーと2日に1回のペースで文通を続けていた。
ハリーにも最初は送っていたのだが、返事が返ってこないため書くのを辞めた。
多分色々と諸事情があるのだろう。それから、ロンとハーマイオニーが家に遊びに来た。
「わぁお。Aの家ってこんなでかいの?」
「読んだことの無い本が沢山あるわ!!」
色んな意味で2人とも、目を輝かせていた。
『好きに読んでいいよ。』
『ロン、君の好きそうなゲームがあるんだけどどう?』
友人が自分の家に訪れるなんてこれまでにないビックイベントだった。
Aの母であるリーネルも息子が友達を連れてきたことがとても嬉しく、張り切っていた。
「A、後でお菓子を持っていくわ。楽しんで」
そう言って息子を抱き寄せおでこに軽くキスをした
『ありがう。お母様』
柔らかく微笑む息子を見てリーネルは肩を下ろす。
本当に良かったと。
ホグワーツから手紙が届いた時、夫であるナイルド・シャックルボルトと話し合いをしていた。
本当に息子を魔法学校へと入学させていいことかについてだった。
母と父は知っていた。息子が呪われていることを。
そして、リーネルは自分の血縁を酷く憎んだ。
もし、自分の体の中に流れる血が魔法族の血でなければ息子はシャックルボルト家の長男として何不自由なく生まれたと言うのに。
シャックルボルト家の地下室にある隠れ部屋。
Aはその存在を知らない。
もし、その存在を知って中を開けてしまえば、少年の人生を奪ってしまう事になる。
母リーネルの遠い昔の祖先から語り継がれるその呪いが
リーネルは孤児院で育った。だから自分が何者なのかも自分の親がどんな人間なのかも知らなかった。
だから、少女と同じ血が流れていることを彼女は知らなかった。
大広間に入れば嫌に目に付く綺麗なミルクティー色の髪の毛
夜空を吸い込んだような瞳と目が合う
自分よりもいくつか下の学年の少女を見る度にリーネルは寒気がした。
別に少女が悪い訳では無い。何故、自分がここまで少女を見ると悪寒がするのか分からなかった。
少女は特別美しかったし、誰にでも平等であり優しいと誰もが口にしたから。
リーネルが卒業を迎えた日、片付いた自室の上に置かれたひとつの本
彼女の血縁全てを知れる本だった。
なぜこんなものがここに置かれたのかも、誰が置いたのかも分からない
ひとつ言えることは、リーネルの生きる運命は産まれる前から決まっていた事だったということ
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ダリア(プロフ) - ここまで面白い作品久々に見ました😭続きがめためた楽しみです (2023年2月25日 21時) (レス) id: d38c2ff012 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - クレィルってなってました。 突然すみません (2023年2月23日 22時) (レス) @page16 id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまびこ | 作成日時:2023年2月6日 12時