ぼくのかんがえたかっこいいてんせいおにいちゃん-3 ページ40
トントンは、とある貴族の次男坊として生まれた。といっても、貴族の中では弱小であり、過去の祖先が積み上げた歴史に縋るしかない、頭が固い家。
貴族とはかくあるべき。
そう貴族の嗜みとやらを教え込まれ、結果は出して当然、それに至る過程などなんの価値もない、そんな考えの家だった。
兄は自分の二つ程年上で生まれた。
両親はそもそも自分を兄のスペアとしか考えていなかったようなので、話すことすら少なかった。トントンが今こうやって常識人としてこの軍で過ごし、他人への慈しみを知っているのは、兄からの影響であると感じていた。
それほど、兄は人格者であったし、自分を可愛がってくれたのだと思う。
兄はいわゆる天才というもので、やることなすことをそつなくこなす有能だった。特に勉学においては頭角を現し、算学の才能は飛び抜けていた。まるで、今から何百年もの未来を先取りしたような数学の知識を持っていた。
兄は家の中では大いに期待を集めていて、自分は空気のように扱われることが多々あった。自分は万能型で、人より飲み込みが早いという自覚はあったが、どれも兄程では無かった。期待されなくても仕方がない。
自分が長男でなくて良かった。そんな声が聞こえるのも日常茶飯事だった。
兄は、随分と自分のことを心配していたように思えた。家の空気も察していて、自分との距離も測りかねているようだった。この年齢にして妙に達観していたトントンは、こう扱われるのも仕方のないことだと考えていたが、兄はそれが嫌のようだった。
本当に、優しい人間だったのだと思う。家族に隠れて平民へと優しく接し、貴族らしからぬ行動をしていたところをよく見た。困っている人がいたら放っておけない、優しい人間だった。トントンが貴族の理念に染まらなかったのは兄の影響だった。
少しずつ違和感を感じていた。
兄は、トントンを呼ぶ時に、名前を呼びたがらなかった。その言葉を紡ぐだけで、何かを堪えるようにぐっと眉を寄せるのだ。
ある時聞いた。
「俺の名前は嫌いですか？」
「まさか。嫌いだなんてあるわけがない」
「じゃあ、なぜ、俺を名前で呼んでくれないのですか？」
兄は困ったように笑った。
「ちょっと、それを受け入れていいもんかな、と思っただけ」
兄の言っていることが分からず、けれどそれ以上聞いても答えてはくれず、トントンは諦めた。
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もちもち(プロフ) - 私はおばけさん» 二回目ありがとうございますコメント物凄い嬉しいですありがとう！！ラノベみたいな転生物好きなのに誰も書いてくれないから自己供給するしかないんだよね！！好きになってくれて嬉しいよ！！お褒めと応援の言葉ありがとうございます！！そちらこそご自愛下さい足りた (2020年6月6日 20時) (
レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
私はおばけ(プロフ) - 2度目かな?コメント失礼致します。早速読ませていただきました!!!簡潔に言います!!!!貴方様が作られる転生物全部新しい気配がしてとっても好きです!!愛してま((殴 好きすぎて何回読み返しても飽きないんです… 応援してます、ご自愛ください 良作ありがとうござ文字数 (2020年6月6日 19時) (レス) id: 4a69a6d2b9 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 私はおばけさん» コメントありがとうございます。grさんはどうあがいても戦争大好きおじさんだからね仕方ないね。ひゃっはーありがとうございます。設定無駄に凝ってますが楽しんでくれたら嬉しいです。応援本当にありがとう、多分これからも妄想を垂れ流し続けますがよろしくです文字数 (2020年6月5日 11時) (レス) id: 228613b85f (このIDを非表示/違反報告)
私はおばけ(プロフ) - お初にお目にかかると思います匿名人です…grさんの戦争狂っぷりがどこになっても変わらないあたりとてもとても…グルさんらしいなって…(ﾆｯｺﾘ)貴方様の作品を拝見していて思っていましたが、貴方様は文字数が多くとても凝った内容で本当に好きです応援してま文字数 (2020年6月4日 23時) (レス) id: 4a69a6d2b9 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 猫缶。さん» grさんなんでこんなに一致するんですかね？？？やっぱラスボスなんだね。戦争キチなのを頑張って書いたらこうなったですお褒めの言葉ありがとう！私も猫缶。さんの文章好きだぞ！羨ましいぞ！この人なら悪魔のフリしてもバレないって信じてます。 (2020年6月4日 21時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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