勘違いもの-9 ページ26
資料で見た他の怪物とは似ても似つかない、どこにでもいそうな小さな子供だ。
けれどそのソプラノボイスは掠れ、辿々しいものであった。
「子供……？」
思わず呟く。するとその子供はきょとりとその瞳を瞬かせ「んぇ？」と可愛らしく首を傾けてみせた。
一瞬動揺してとんでいた思考回路が勝手に働いていく。
この少年は何故ここにいるのだろうか。
何故このような扱いなのか。
何故、手錠をつけられ檻の中に入れられているのか。
「しせつ、のひと。ころしたん？」
小さな身体には似合わない物騒な言葉に目を見開く。
いくら無能もやしの僕でも最低限の護身術くらいは仕込まれている。この地下実験室にはこの子以外生命の気配が無い。
そして、最近運ばれている怪物の行方。実験室にはガラス越しに中が見ることが出来るような部屋があった。そこには多くの血の跡があった。あそこで戦闘データがとられていたのだろう。
そして、この少年は最低限の護身術を知っている自分に、誰だ、と聞いた。
つまり、殆ど立てていない足音に気付き、姿すら見ていない状態で自分の知らない人だと断定した。
それだけの事を、普通の少年が出来るだろうか。
先程の白衣の男の声がリフレインする。
『さいこうの、じっけんたいを、ばけものを』
この子供が──化け物、だというのか。
思わず後退りそうになる足を抑える。しんぞうが大きく鳴り始め、汗ばむ手で銃が滑らぬよう強く握った。
その子供の一挙一動に警戒した、時に。
「なら、はよ、にげんと。あぶない、で」
予想もしていなかった言葉にぽかんとする。強張っていた身体から力が抜けた。拍子抜けしたのだ。
危険を伝えるその言葉。
その声には、確かに心配の色が乗っているのを感じ、思わず少年を凝視した。
薄暗い中でも小さく光るペリドットには、ひどく悲しげな感情が写っていた。
何だろうか。この少年が何を考えているかは分からない。だが、その目には、確かな諦めのようなものが映っているようで。
「きみは……逃げたくないんか？」
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もちもち(プロフ) - 私はおばけさん» 二回目ありがとうございますコメント物凄い嬉しいですありがとう！！ラノベみたいな転生物好きなのに誰も書いてくれないから自己供給するしかないんだよね！！好きになってくれて嬉しいよ！！お褒めと応援の言葉ありがとうございます！！そちらこそご自愛下さい足りた (2020年6月6日 20時) (
レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
私はおばけ(プロフ) - 2度目かな?コメント失礼致します。早速読ませていただきました!!!簡潔に言います!!!!貴方様が作られる転生物全部新しい気配がしてとっても好きです!!愛してま((殴 好きすぎて何回読み返しても飽きないんです… 応援してます、ご自愛ください 良作ありがとうござ文字数 (2020年6月6日 19時) (レス) id: 4a69a6d2b9 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 私はおばけさん» コメントありがとうございます。grさんはどうあがいても戦争大好きおじさんだからね仕方ないね。ひゃっはーありがとうございます。設定無駄に凝ってますが楽しんでくれたら嬉しいです。応援本当にありがとう、多分これからも妄想を垂れ流し続けますがよろしくです文字数 (2020年6月5日 11時) (レス) id: 228613b85f (このIDを非表示/違反報告)
私はおばけ(プロフ) - お初にお目にかかると思います匿名人です…grさんの戦争狂っぷりがどこになっても変わらないあたりとてもとても…グルさんらしいなって…(ﾆｯｺﾘ)貴方様の作品を拝見していて思っていましたが、貴方様は文字数が多くとても凝った内容で本当に好きです応援してま文字数 (2020年6月4日 23時) (レス) id: 4a69a6d2b9 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 猫缶。さん» grさんなんでこんなに一致するんですかね？？？やっぱラスボスなんだね。戦争キチなのを頑張って書いたらこうなったですお褒めの言葉ありがとう！私も猫缶。さんの文章好きだぞ！羨ましいぞ！この人なら悪魔のフリしてもバレないって信じてます。 (2020年6月4日 21時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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