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留三郎「どうやら血は止まりかけているな。何があったんだ?」
『盛大にお風呂で転んで頭を打ったので、医務室に向かうところです。少しのぼせたみたいで』
文次郎「ったく、たるんどるな。留三郎、こいつを医務室に連れて行くぞ」
留三郎「わーってるって。よく泣かずに来たな、偉いぞ」
あらあら、六年生ってこんなに優しいっけ。潮江先輩は少し小言を言うけれど、食満先輩が頭の痛くない所を撫でてくれた。
『もう三年生ですから、泣きませんよ』
打った時は流石に涙が出たけどね。
留三郎「はは、そうだな、悪かった。俺たちちょっと汗臭いかもしれないけど、我慢してくれ」
そう言って食満先輩はひょいっと私を抱き上げてくれた。正直まだフラフラしていたので助かった。汗臭いだなんてとんでもないです。
文次郎「痛むか?」
『そんなには。こちらこそ鍛錬帰りのお邪魔をしてしまって申し訳ないです』
文次郎「……後輩はそんなこと気にするな」
どうやら先輩も気にかけてくれてはいるみたいだ。怖い印象しか無かったのでちょっとだけビックリ。
身長の高い先輩たちに連れて行ってもらうと、すぐに医務室に着いた。中には伊作先輩と数馬がいた。
数馬「A!?」
文次郎「こいつの頭を手当してやってくれ。風呂ですっ転んだそうだ」
数馬「…………」
心配して損したみたいな顔せんといて。一応怪我人なんだから。
伊作「珍しいな、Aが医務室に来るなんて。あー、綺麗に切れたね。一週間くらいでちゃんと治るよ」
薬草を整頓していたらしい伊作先輩は、手際良く傷を診て手当てしてくれた。元気が取り柄だからね。
留三郎「顔に傷でも残ったら大変だからな。良かった」
食満先輩の爽やかスマイルをいただきました。私は一晩で先輩に懐きましたよ。
『あのう、お水も貰えませんか?ちょっとのぼせたみたいで』
数馬「お風呂で考え事でもしていたんじゃないの? 転ぶ程のぼせるなんて」
『はは、面目ない……』
冷えたお水を貰う。飲むと少しだけ頭が冴えた気がした。同時にズキズキとした痛みも戻ってくる。
手当が終わると、私は立ち上がってぺこりと頭を下げた。
『食満先輩、潮江先輩、伊作先輩、数馬。こんな時間にありがとうございました』
伊作「お大事に。冷えるといけないからしっかり髪も拭くんだよ」
『はい!おやすみなさい』
月が帰りの廊下を照らしている。腕や指先に残る怠さに、私はすっかり忘れていた夢の内容を思い出していた。
『……まさか、ね』
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おんぷ - 続き見たいです (2月4日 20時) (レス) id: e0221025e3 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖水 - 黒糖さまでーすさん» 同じく (2023年4月1日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖水 - 終わってるんですか、残念です (2023年4月1日 2時) (レス) @page21 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - なんで終わってるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ((((泣 (2023年3月14日 22時) (レス) @page21 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さんでーす - 更新頑張って下さい。続きが気になります (2023年3月2日 18時) (レス) @page21 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2022年8月7日 22時